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口の中の健康(10)小中学生の4割に歯肉炎 歯科医院で歯石の除去を
口の中の健康では、大阪大の仲野和彦教授に聞きました。次回からは「おなかのトラブル」を特集します。(聞き手・村上和史)
歯周病の一つで、歯ぐきが赤く腫れて出血しやすくなる「歯肉炎」。厚生労働省の調査では小中学生の4割がかかっていました。最終回は歯肉炎の予防を含め、子どもの歯ぐきをいかに守るかがテーマです。
歯肉炎の主な原因は歯の磨き残しです。歯と歯ぐきの間のポケット部分には、「プラーク」と呼ばれる 歯垢 がたまりやすく、炎症を引き起こします。
特に乳歯と永久歯が混在する時期は、歯並びもでこぼこして磨きにくくなっています。ポケット部分に残った歯垢が長く放置されて固まり、「歯石」になると、もう歯磨きでは取り除けません。ますます炎症が起きやすくなるため、歯を支えている骨が溶け始めるもう一つの歯周病「歯周炎」の危険性が思春期以降に高まります。
歯周炎にまで進行してしまうと、元通りに戻すのは難しくなります。しかし、学校の健康診断などで歯肉炎と指摘された時点であれば、歯垢や歯石をきれいに取り除くことで十分に治すことができます。実際に大半の子どもは歯肉炎の段階でとどまっています。
まずは歯石ができないよう、小児歯科医に適切な歯磨きの仕方を指導してもらい、子どもに意識づけをしてください。保護者も時には磨き残しがないかお子さんの口の中をチェックしたり、歯石を取るため定期的に歯科医院に連れて行ったりすることが重要です。
子どもの頃から歯や歯ぐきを清潔にする習慣が身についていれば、将来にわたって口の中の健康を保てるでしょう。そのためにも、ぜひ近所の小児歯科医をかかりつけにして味方に付け、気になることは何でも相談してみてください。
【略歴】
仲野和彦(なかの・かずひこ) 日本小児歯科学会専門医指導医。大阪大卒。阪大准教授を経て2014年から現職。博士(歯学)。
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