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片頭痛の新旧治療薬を比較 RCT 64件のシステマチックレビューとメタ解析

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 台湾・Kuang Tien General Hospital/Hungkuang UniversityのChun-Pai Yang氏らは、従来使用されているトリプタン系片頭痛治療薬と近年登場した新クラスの5-HTT1F受容体作動薬lasmiditan(ditan系薬)、経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬rimegepant、ubrogepant(gepant系薬)の効果をランダム化比較試験(RCT)64件、計4万6,442例のシステマチックレビューとネットワークメタ解析で検討。その結果、新クラスの片頭痛薬はトリプタン系薬に比べて、投与2時間後での頭痛消失および緩和効果が低かったものの、有害事象はgepant系薬では少なかったとJAMA Network Open( 2021;4:e2128544 )に発表した。新クラスの薬剤は血管収縮作用がないため、心血管系の合併症のためトリプタン系薬剤が使えない患者などにおいて新たな選択肢となる可能性があるという。

進化する片頭痛の治療、次世代薬の登場相次ぐ

片頭痛の新旧治療薬を比較 RCT 64件のシステマチックレビューとメタ解析

※画像はイメージです

 トリプタン系薬は片頭痛の治療に有用であり、広く使用されているが、薬剤の使用過多による薬物乱用頭痛の問題がクローズアップされるようになり、また血管収縮作用があるため心血管疾患やコントロールできていない高血圧の合併症などのある片頭痛患者には使用できないといった課題がある。一方で、近年、片頭痛治療薬の開発が急速に進み、新たな作用メカニズムを有する薬剤としてlasmiditan、rimegepant、ubrogepantがそれぞれ2019年以降に米食品医薬品局(FDA)から承認され、治療選択の幅が急速に広がっている。日本では、CGRPを標的とした抗CGRP抗体製剤3製剤(注射薬)が承認されているものの、経口のCGRP受容体拮抗薬は開発中である。

 米国ではCGRP受容体拮抗薬としてgepant系のrimegepantやubrogepantがそれぞれ2020年2月、2019年12月に承認され、Lasmiditanは2019年10月に承認されている。

 Yang氏らは、Cochrane Register of Controlled Trials、EMBASE、PubMedの各医学データベースに2020年3月5日までに掲載された18歳以上の片頭痛患者を対象に承認された急性片頭痛治療薬の効果をプラセボと比較した二重盲検RCT 64件(4万6,442例、女性74~87%、年齢範囲36~43歳)を抽出。ランダム効果モデルによるメタ解析に組み入れた。

頭痛消失・緩和はトリプタン系薬に軍配

 主要評価項目は投与後2時間での頭痛消失のオッズ比(OR)とし、副次評価項目は投与後2時間での頭痛緩和のORおよび有害事象とした。

 解析の結果、投与後2時間での頭痛消失のORはlasmiditan〔範囲:OR 1.72(95%CI 1.06~2.80)~3.40(同2.12~5.44)〕、rimegepant〔同1.58(1.07~2.33)~3.13(2.16~4.52)〕、ubrogepant〔同1.54(1.00~2.37)~3.05(2.02~4.60)〕に比べて大部分のトリプタン系薬で高かった。

 また、投与後2時間での頭痛緩和のORについても、lasmiditan〔同1.46(1.09~1.96)~3.31(2.41~4.55)〕、rimegepant〔同1.33(1.01~1.76)~3.01(2.33~3.88)〕、ubrogepant〔同1.38(1.02~1.88)~3.13(2.35~4.15)〕に比べて大部分のトリプタン系薬で高かった。

新クラスの3剤間で差は認められず

 臨床的に広く用いられている用量でのプラセボとの比較では、いずれの薬剤も頭痛消失のORがプラセボに比べて高く、ORが最も低いのはlasmiditan 50mgの1.65(95%CI 1.08~2.50)、最も高いのはエレトリプタン40mgの5.59(同4.50~6.94)だった。頭痛緩和のORについても同様で、最も低いのがlasmiditan 50mgの1.60(同1.23~2.07)、最も高いのがジヒドロエルゴタミン2mg経鼻スプレーの6.46(同3.36~12.43)だった。

 一方、新クラスの3剤(lasmiditan、rimegepant、ubrogepant)を比較したところ、投与後2時間での頭痛消失および頭痛緩和に関して有意差が認められなかった。

リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタンで有害事象が増加

 大半のトリプタン系薬では有害事象のリスクと関連していた。頻用用量の各薬剤の解析で、有害事象のリスクが最も高かったのはlasmiditan 50mg(OR 3.12、95%CI 1.86~5.24)および100mg(同4.30、2.80~6.58)だった。めまい、吐き気、疲労といった中枢神経系関連の有害事象が確認されており、以前行われたメタ解析の報告と一致していたという。

 また、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタンといった特定のトリプタン系薬はCGRP受容体拮抗薬(gepant系薬)に比べて有害事象のリスクが高かった。有害事象のORは、リザトリプタンで1.96(95%CI 1.14~3.35)、スマトリプタンで1.83(同1.09~3.09)、ゾルミトリプタンで2.34(同1.39~3.95)だった。ただし、大部分の有害事象は軽度~中等度だった。

米国ではオピオイドなどを使用するケースも

 以上を踏まえ、Yang氏らは「5-HTT1F受容体作動薬やCGRP受容体拮抗薬といった新たな作用メカニズムの片頭痛治療薬lasmiditan、rimegepant、ubrogepantの投与後2時間での頭痛消失および緩和効果は、プラセボ群よりは高かったものの、大部分のトリプタン系薬に比べて低かった」と結論。ただし、これらの新クラスの片頭痛治療薬は血管収縮作用がないため、現行の治療薬で効果が得られない患者やトリプタン系薬が使用できない心血管疾患の合併症を有する患者などにおいて新たな治療薬選択肢となる可能性があるとしている。

 新クラスの薬剤の別の有用性として、米国では片頭痛の痛みの緩和にオピオイド系鎮痛薬やバルビツール酸系薬を使用するケースがあり、過剰使用による中毒リスクの懸念が指摘されている。その代替薬として、ditan系薬やgepant系薬が新たな治療オプションになると期待されているという。(太田敦子)

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