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コロナ医療支えるDMAT、災害現場の経験生かし全国250施設で活動

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 新型コロナウイルス感染症の出現で、昨年来、日本の医療現場は病床確保や患者の搬送調整に追われてきた。こうした混乱の中で、各地の災害現場で経験を積んだ「災害派遣医療チーム(DMAT)」は、すでに全国250か所以上の施設で活動し、医療を支えてきた。(戸田貴也、長沢勇貴)

■「救護所」

 国の助言機関が「災害に近い状況」と指摘するほど感染が急拡大した今夏の第5波。そのまっただ中の8月上旬、横浜市内のホテルでは、厚生労働省から派遣されたDMATの医師ら4人が、神奈川県の「入院待機施設」(24床)の準備に携わっていた。自宅療養中に症状が悪化したコロナ患者に酸素投与をしながら入院先が決まるのを待つ施設だ。

 DMATは、災害や事故で多数のけが人が出た場合、現場近くに「医療救護所」を設け、応急処置をする。横浜のホテルでも、効率的なベッドの配置を考えたり、医師や看護師のローテーション作成を助言したりと、積極的に携わったという。

 「病院以外の場所で、一時的に患者を受け入れる場所をつくるノウハウがあるので、私たちの経験が生かせたと思う」と、県医療危機対策統括官の阿南英明医師は語った。

■入院調整

 DMATの力を借りたことで、自宅療養者「ゼロ」を続けている自治体もある。

 福井県は入院や宿泊療養が必要なコロナ患者について、搬送先を調整する「入院コーディネートセンター」を昨年4月に設置。県内病院に勤務するDMAT隊員の医師、看護師らが調整役を担う。

 それまでは、県庁職員が受け入れ候補の病院に電話で依頼していたが、断られることも多かったという。

 県の担当者は「医師や看護師の知識や経験を踏まえ、患者が必要な治療を見極めてから搬送先を決めるので、受け入れる病院側も安心感を持って応対してもらえるのではないか」と話す。

 DMATなどの指摘を受けて病床や宿泊療養施設を増やす取り組みも進めた結果、昨年から今月6日時点まで自宅療養者は0人という。

■クラスター

 医療機関で入院患者と職員のクラスター(感染集団)が起きた場合、感染者が勤務できないことにより、医師や看護師不足が起きる。自然災害で被災した病院でも同様の人手不足が起きることから、DMATは普段から、ほかの病院や自治体に医師らの派遣を要請する訓練を重ねている。

 実際、昨年11月~今年1月に入院患者と職員の計214人のクラスターが起きた北海道旭川市の病院では、看護師が不足し、DMATが別の病院と調整してコロナ患者を転院させた。コロナに感染していない患者と、コロナ患者の病室を分けて感染防止対策も講じた。

 DMATは災害発生から48時間以内に活動を開始することが原則のため、初動の速さにも定評がある。国のDMAT事務局次長で、同市で現場の指揮を執った近藤 久禎ひさよし 医師は「迅速に病院支援を始めることで、患者の死亡や感染拡大を抑えられることが、活動を通じて分かってきた。感染症対応の研修を進め、コロナ医療を支えるDMAT隊員を増やしたい」としている。

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