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様々な仮説ある感染者急減の要因「2回接種が大きな役割」…[検証コロナ 第5波の教訓]<3>

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 「夏休みや東京五輪・パラリンピックで、(首都圏から)他の地域に感染を拡大させる懸念がある」

 第5波の入り口に差しかかった7月7日。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、衆院厚生労働委員会で、強い危機感を示した。

様々な仮説ある感染者急減の要因「2回接種が大きな役割」…[検証コロナ 第5波の教訓]<3>

 尾身会長らは6月半ばに発表した提言でも、感染力の強いデルタ株が広がる中、五輪に伴う人出の増加が感染爆発につながりかねないと訴えた。8月4日の厚生労働省助言機関会合で、この状況が続けば、8月中旬には東京の新規感染者数が1万1000人を超えるとの試算も示された。

 だが、蓋を開ければ様相は異なった。

 東京の新規感染者数は、8月13日に過去最多の5773人を記録したが、これをピークに急激な減少を見せた。

 減少の兆候は、振り返ってみれば、既に開会式前にあった。1人が何人にうつすかを示す「実効再生産数」は、五輪の開会式2日前にあたる7月21日の「1・4」をピークに減少した。8月中旬には「1」を下回り、新規感染者数の減少を裏付けた。

 なぜ、急激に減少したのか。専門家は、要因として〈1〉夜間の人出が減少〈2〉マスク着用など感染対策が定着〈3〉医療 逼迫ひっぱく などの情報で感染リスクが高い行動を回避――などを挙げたが、いずれも仮説にとどまる。

 ただ、「ワクチン接種の進展が、大きな役割を果たしたことは間違いない」と、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は強調する。

 ワクチンの2回接種を終えたのは、五輪前の7月20日時点では人口の24・6%だったが、2か月半で約2・5倍に増加。10月7日時点で63・1%に達した。特に、先行して接種した65歳以上では、顕著な効果がみられた。7月末までに8割が2回接種を済ませており、7~8月だけで新規感染者を10万人以上、死者を8000人以上抑制した可能性があるとの国の試算もある。

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看護師から新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける入所者=今年5月、北砂ホーム提供

 「ワクチンを打っていたので、昨年とは安心感が全然違った」。東京都江東区の特別養護老人ホーム「北砂ホーム」の和田敬子施設長(69)は、今夏の「第5波」を振り返る。

 同施設では昨春、入所者と職員51人が感染するクラスターが発生し、入所者5人が亡くなった。その教訓から、今年4、5月に職員と入所者約200人の接種をすませた。施設内の消毒や職員の外食自粛など感染対策も徹底し、第5波では入所者の感染をゼロに抑えた。和田さんは「感染の不安はなくならないが、ワクチンで重症化しにくいことは心強い」と話す。

 

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