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なかさとみ「吉本芸人 卵子提供で2人のママに」

医療・健康・介護のコラム

「多様性=何でもあり」じゃない 卵子提供にも一定のルールを

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卵子の老化知らず、出産適齢期を逃す

 私たち第2次ベビーブーム世代が子供を産まなかったことで、第3次ベビーブームがやってこなかったと言われますが、私も含めて、ほとんどの人が妊娠に関する知識に乏しく、出産適齢期を逃しました。ネットなどでは「40歳過ぎまで好き勝手に生きてきたからだ」と書く人がいますが、私が200人以上の方からお話を聞くと、そのような方はほとんどいらっしゃらず、「卵子が老化するなんて知らなかった」とおっしゃる方が圧倒的に多いです。

 ですから、好き勝手に生きてきたというよりも「妊娠や出産にまつわる知識が非常に乏しい世代」であることが、超がつくほどの高齢出産を増やした原因であり、とても顕著だと感じています。そんな第2次ベビーブーム世代が今、不妊治療や卵子提供や代理母で子供を持とうとしています。

 このようなことから、本来はみんな「子供が産みたい」という気持ちはあったわけです。しかしながら、あまりにも知識に乏しく、自分の出産適齢期をみすみす逃してしまいました。「これからの世代には私たちを反面教師にしてほしい」と、みなさん口をそろえておっしゃいます。

出産のタイムリミット すべての人が学ぶ機会を

 少子化を改善するには、妊娠の知識について「知っている人は知っているけど、知らない人は知らない」というような状況をなくし、すべての人に「出産にはタイムリミットがあること」を学ばせる機会を国が作ることが重要だと思うのです。

 そして周りは「早く産まないと産めなくなるよ」と脅したり、プレッシャーや圧力を与えたりするのではなく、おじいちゃんもおばあちゃんも、お父さんもお母さんも、恋人も友達も、会社の上司や部下や同僚も、老若男女問わず、すべての人が妊娠についての正しい知識を持つことで、この問題の大幅な環境改善を目指してほしいなと思います。そのためにもぜひ、メディアの皆さんにも「正しい知識の拡散」をお願いしたいところであります。

 海外と比較しても、国が少子化に積極的な介入や改善をせずに、自己責任や自助を基本としているのはある意味で私は異常だと感じています。もっと危機感を持ってほしいと強く思います。

 最近は、不妊クリニックの先生から「自分で産みたいなら卵子提供しかない」と言われたという相談が増えているのですが、特に40代後半以降に卵子提供で子供を産むということは非常にハードルが高く、誰にでもできることではありません。ですから先生方には、里親や養子など、別の選択肢も一緒に提案してほしいと思います。くれぐれも卵子提供一択の提案は避けていただけるようお願いいたします。

知識はあっても決断できない女性が増える?

 20~30年後には「出産適齢期は知っていたけれど、その時に産む決断ができなかった」という女性が増えてくると思います。

 時代が変わっても女性たちは、出産適齢期にタイミングよく相手に出会えなかった、経済的な理由で結婚や子作りに踏み切れなかった、または結婚や出産より自分の夢の実現を優先したかった、など私たちと同様な悩みを抱えていることでしょう。しかしながら私たちと違うのは、私たちは著しく知識に乏しいために出産適齢期を逃しましたが、これからは、知っていても決断できないという例が多くなると思います。そういったことからアメリカでは今、卵子を凍結する若い女性が増えているようです。

 どんなに時代が変わったとしても、すべての女性の気持ちに寄り添った妊娠出産を考えられる「多様性に満ちあふれた日本の社会」になると良いなぁと私は心から願っています。(なかさとみ)

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なか さとみ

 1971年生まれ。吉本興業所属芸人。2015年より不妊治療をしたが妊娠に至らず。卵子提供で2人の子どもを出産。19年1月10日、日本で初となる当事者による卵子提供自助グループ「アン・ネフェ」を発足。自身の経験をもとに発足以来、延べ200人以上の相談を受けている。

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