一病息災
闘病記
[エッセイスト 小島慶子さん]ADHD(1)約束の時間を勘違い、場所を忘れ…「何て駄目人間なんだ」
40歳を過ぎて、軽度のADHD(注意欠如・多動症)と診断されたことを、ウェブのエッセーで2018年に公表した。
ADHDは発達障害の一つで、生まれつきの脳の機能障害が原因と考えられている。不注意な行動や落ち着きがないことなどが特徴とされる。
診断のきっかけは、30歳代の頃から、理由もなく不安に襲われる不安障害の治療のために、精神科で定期的に受けていたカウンセリングだった。
「子どもの頃にこんなことで苦労したとか、今はこんな困りごとがあるという話をしていたら、主治医が発達障害も専門にしていたということもあり、気づいてくださいました」
約束の時間を勘違いしたり、場所を忘れてしまったりと、スケジュール管理が苦手。「普通できるでしょ」と言われるような簡単なことでも、自分はとてもエネルギーを使って集中しないとできない。「何て駄目人間なんだ」と、ずっと自己嫌悪を感じていた。
ADHDだと分かったことで、必要以上に自分を責めなくなった。困りごとに対して、具体的にどう対処するかに考え方を切り替えた。「診断を受けて、自分としては本当に『助かった』という感じです」
自分が語れるのは、あくまで自分だけの経験にすぎないが、ADHDや発達障害について、少しでも社会の理解につながればと情報発信を続けている。
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エッセイスト 小島慶子 さん(49)
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