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4種の口腔細菌が大腸がんに関与 唾液検査でリスク予測・予防の可能性

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 鹿児島大学顎顔面疾患制御学分野教授の杉浦剛氏、大阪大学微生物病研究所の共同研究グループは、口腔内の4種の細菌が口腔から大腸に移行して、結腸直腸がん(CRC)の発生や進行に関与す可能性がある、とCancers( 2021;13:3332 )に発表した。これまでCRC患者からの検出が報告されているFusobacterium属とは異なる細菌種で、世界的にも初の発見だという。同氏らは今回の結果から「今後、唾液検査で口腔内細菌叢を調べることにより、CRCの発見やリスクを検知し、予防につながる可能性がある」と期待を寄せている。(関連記事「口腔内細菌が食道がんの危険因子に」)

唾液と便の細菌叢を遺伝子解析

4種の口腔細菌が大腸がんに関与 唾液検査でリスク予測・予防の可能性

※画像はイメージです

 口腔内細菌叢は腸内細菌叢および病原性細菌の生息場所として重要な役割を果たすと考えられており、海外の研究では肝臓がんの一因として腸内細菌叢の重要性が報告されている。腸内細菌叢はCRCの進行にも関与していると考えられているものの、詳細は不明である。

 そこで、杉浦氏らは口腔常在菌と腸内細菌叢の関連およびCRCの発生や進行への関与について検討した。対象は、CRC患者52例(平均年齢68.5歳、男性63.5%)、対照の健康成人51例(同54.5歳、51.0%)。CRC群の病期は早期(ステージI、II)、進行期(ステージIII、IV)が各26例だった。治療内容は、外科手術が34例、化学療法が4例、術前補助療法+化学療法が12例、手術非施行が2例だった。

 対象から唾液と便を採取して細菌叢の遺伝子解析を実施し、比較検討した。解析対象は、計206検体(唾液103検体、便103検体)だった。

進行期患者で検出量が有意に多い

 解析の結果、口腔内および腸内細菌叢において、発がんやがんの進行に関与する可能性が示唆される口腔常在菌(Peptostreptococcus stomatis、Streptococcus anginosus、Streptococcus koreensis 、Solobacterium moorei)を同定した。これらの細菌種は唾液と便の両検体とも、対照群に比べてCRC群で多く見られた。

 S.mooreiとP.stomatisは便だけでなく唾液にも比較的高い量で存在していたことから、口腔に由来する可能性が示唆された。中でも、S.mooreiは早期CRC患者に比べ、進行期CRC患者で唾液と便の両検体で検出量が有意に多かった。主に歯内感染や歯周病に関連する細菌種とされるが、杉浦氏は「S.mooreiはCRCの発生だけでなく、がんの進行にも影響を及ぼしている可能性がある」と考察。「S.mooreiは炎症環境をつく出すことにより、CRCの進行に影響を与える因子であると想定される。S.mooreiとCRCの進行との関連やメカニズムを調査することは、今後の研究トピックスになりうる」と指摘している。

 一方、S.koreensisおよびS.anginosusは連鎖球菌属であり、口腔内の同種細菌と見なされ、歯周病の歯垢(プラーク)から単離することができる。同氏は「S.anginosusの腸内への移行がCRCの危険因子になるか否かについては、さらなる研究が必要」としている。

CRC患者は口腔衛生状態が悪く、積極的な口腔洗浄でがん予防も

 口腔衛生環境についても、CRC患者群と対照群を比較した。その結果、残存歯の平均本数はCRC群の17.7本に対し、対照群では24.9本だった。虫歯の割合は、それぞれ34.6%、11.8%だった。歯肉プラークが歯の3分の1以上に付着していた割合は、CRC患者群の78.8%に対し対照群では35.3%と、CRC患者群では口腔内の衛生状態が悪かった。なお、1日当たりの歯磨き回数が3回以上の割合は、CRC患者群の34.6%に対し、対照群では72.5%と顕著な差が見られた。

 以前の研究でCRC患者では口腔衛生状態が悪い傾向が見られたが、今回の研究でも同様の結果が示された。したがって、細菌種数は積極的な経口洗浄の介入により減少する可能性があり、杉浦氏は「口腔ケアや歯科治療、食事による口腔細菌叢の管理により口腔内から腸内への細菌の移行が減ることで、CRCの予防につながる可能性がある」と結論している。

 その上で、同氏は「CRCの発生や進行における役割を解明するために今回の研究で同定された4種の細菌の特徴を調査する研究が必要である」と指摘。既に、唾液を用いた口腔細菌叢の解析によるCRC診断法の確立やCRCリスク診断法の開発を進めているという。(小沼紀子)

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