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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

医療・健康・介護のコラム

コロナの急激な収束をもたらした要因とは ワクチン、行動自粛、そして……

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過去最大の患者数増加だった第5波

コロナの急激な収束をもたらした要因とは ワクチン、行動自粛、そして……

 本稿執筆時点で、新型コロナのいわゆる「第5波」が急速に収束しています。
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/japan/
(閲覧日 2021年9月28日)

 報告される患者数も激減していますし、入院ベッドも重症患者のいるICU、軽症患者の病棟ともに患者数がみるみるうちに減っていきました。検査の数が少ないから患者を捕捉できていない、わけではないのです。この患者減少はリアルなのです。

 第5波は過去最大の患者数増加で、ピーク時はとても大変でした。入院できない方もたくさんいて、特に東京では自宅での症状の悪化や死亡の事例も多発しました。ですから、手放しで喜んでよいわけはない、のですが、それでも、僕らはもっともっと悲惨なシナリオを懸念していました。

 まあ、僕は「予測」の専門家ではないので、基本的に「準備」はしますが、予測はしません。異なる複数の仮定を想定して、最良のシナリオと、最悪のシナリオを考えて、どっちに転んでもよいように準備します。

 もちろん、プロは常に「最悪のシナリオ」を念頭に置いていますから、どちらかというと楽観主義よりは悲観主義に傾きがちです。が、「良い方のシナリオ」も忘れずに検討して、こちらの準備が肩透かしを食らった場合でも、すぐに対応法を変更できるよう、準備しておきます。

 第5波がものすごい勢いで感染者数を激増させたときは、それはそれは、悪いシナリオがいくつも想定されました。そのうち、いくつかは不幸にも現実となりました。たくさんの入院待機、症状増悪時に入院できる病院・病床がない……といった事態は、想定はしていたけれども起こってほしくなかった「悪いシナリオ」です。

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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