Dr.イワケンの「感染症のリアル」
医療・健康・介護のコラム
コロナの急激な収束をもたらした要因とは ワクチン、行動自粛、そして……
想定外だった急激な減少
しかし、巨大に膨れ上がった総感染者数が、これほどの勢いであっという間に激減するとは、僕はちょっと考えていませんでした。
この間、日本がやっていたのは緊急事態宣言の「延長」でした。通常、ある対策をとっているときに患者が増え続けていたら、対策を変えるのが定石で、うまくいっていない対策を続けるのは下策です。が、その下策にもかかわらず日本では感染がピークアウトし、一気に減少に転じました。
本当は、プロは「想定外」というのを作ってはいけないんですけど、今回はまさに「想定外」の収束の素早さでした。自分の予測が良い方に間違っているのはとても良いことなのですけど。
これは、いままでの「波」とは異なる展開でした。これまでは、患者数がピークに達して、「波」が減少に転じても、すぐには患者数が大きく減ることはありませんでした。入院期間の長いコロナの重症病床はいったん満床になるとまったく動かなくなり、いつまでも満床状態が続きました。典型的だったのが関西を大きく苦しめた「第4波」でした。
ところが、今回はまったく異なる展開となりました。グラフを見ていただければ分かりますが、収束の「波」の角度がとても急峻(きゅうしゅん)なのです。
デルタ株で感染が広がりやすくなったから、ということで「増える」角度が急になるのは分かります。が、感染収束のスピードが変異株のために早まるというのは、ちょっと理解できない。いろんな仮説は出ていますが、決定的な原因はよく分かっていません。
ヒントとなるのは、イギリスです。イギリスも去年から今年のはじめにかけて、巨大な「波」がやってきましたが、かなりのスピードでこれを収束させ、ほとんど新規感染者が発生しないほどになりました。1月から2月にかけて患者が激減、非常に少ない感染者数にまで問題を「収束」させることができたのです。
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/uk/
(閲覧日2021年9月27日)
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