介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
特別養護老人ホームはどんな人が利用できるの?…「要介護3」以上 順番待ちも
訪問介護やデイサービスを利用しながら自宅で暮らす生活が難しくなってきたら、介護サービスを受けられる施設への入居を考えるタイミングかもしれません。そうした施設の代表的なものが「特別養護老人ホーム」(特養)。全国に約1万500施設あり、約62万人が暮らしています。
特養では、高齢者3人に対し、介護や看護の職員が1人以上配置されていて、食事や入浴、排せつなどの際、手厚い介助を受けられます。24時間の見守り態勢があり、夜中に急に気分が悪くなったときなども心細くなさそうです。
居室は、個室や、4人部屋の多床室などがあります。それぞれの居室で寝起きしながら、日中は大きな部屋で他の入居者らと食事をしたり、レクリエーションを楽しんだりして過ごすというのが、基本的な生活のイメージです。
「とらいふ武蔵野」(東京)では、70~100歳代の75人が暮らしています。施設長の大脇秀一さん(58)は「仲良くなった人同士が食堂で談笑したり、居室に持ち込んだパソコンでインターネットを利用したりと、皆さん自由に過ごしています」と話します。
本人や家族が希望すれば外出や外泊も可能。とらいふでも、家族と回転ずしに行ったり、月に1度は自宅に戻ったりする人もいるそうです。
実は、訪問介護などの在宅サービスと違い、特養は、希望すればすぐに利用できるというわけではありません。
まず、原則として、介護の必要性が高い「要介護3」以上の人が対象になります。
要介護3以上でも、約29万人が入居待ちの「待機者」となっています。立地などにもよりますが、入居の順番が来るまでに、2~3年かかることも少なくないようです。
この順番は、単純な先着順ではありません。施設が本人や家族と面談し、要介護度のほか、「身寄りがない」「介護している人が入院した」などの生活状況も考えて決めます。基準は市区町村によっても違いがあるようです。
毎月、介護サービスを受けるための基本利用料(自己負担は原則1割)のほか、部屋代と食費がかかります。基本利用料の自己負担は要介護度が高いほど増える仕組みで、月1万円台後半から3万円台前半です。国が目安として示す部屋代と食費は月に計7万~10万円ほどですが、施設によって違うほか、預貯金の額や世帯の収入などで減額される仕組みもあります。
特養では、入所から退所までの期間は平均3年半。 看取 りまで行う施設も増えています。東京や千葉で居宅介護支援事業所を経営するケアマネジャーの宮崎直樹さん(44)は「施設によって個性がありますから、申し込む前にしっかり見学することをお勧めします。職員やお年寄りの雰囲気、施設内の匂いなどを自ら確かめてみてください」と助言しています。(板垣茂良)
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。