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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track18】駅のホームから転落寸前、大切な人の声が聞こえた―うつ病の夫の危機を救った妻の口癖―

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「幸せの三原則」では

 長年連れ添える夫婦の間には、若い頃の「ときめき」は薄れていても、どこかで互いを信じ、支え合う心が存在しているものと思います。19世紀の終わりから20世紀にかけて「アドラー心理学」を提唱したオーストリア人心理学者アルフレッド・アドラーは、「幸せの三原則」として、「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」を挙げています。この三つを合わせると、自分にも相手にもOKを出せる「相互理解」につながっていきます。

 これは夫婦に限ったことではありませんが、身近にいる「理屈のない味方」の存在は、その声や言葉で相手を支え、時に窮地から救ってくれるほどの力をも持っているのでしょう。

 タカシさんのエピソードが、いつも空気のように傍にいてくれる大切な存在との関係を、あらためて見つめ直すきっかけになれば、この上ありません。

 ~ Plusココロブルーへのサプリ ?この一曲 ~ 

Smile – Herb Alpert

Smile - Herb Alpert トランペット奏者のハーブ・アルパートは、80代半ばを超えた今も精力的に新作を発表し続けています。最新アルバム「Catch The Wind」には、9曲のオリジナルに加え、この「Smile」やビートルズの名曲「Eleanor Rigby」「Yesterday」などのカバーも収録されています。さて、この「スマイル」は、コメディアンとして一世を 風靡(ふうび) したチャールズ・チャップリンが作曲し、自身の映画「モダン・タイムス」で使った楽曲です。その後、ナット・キング・コールなど数多くのアーティストによって歌い継がれています。この歌のメッセージは、「たとえ、空に雲が立ち込めて、不安や (かな) しみの中にあっても、ほほ笑んでいれば、きっと切り抜けられるものさ」。深みのあるトランペットの音色に、哀しみや (よろこ) びを象徴した映像が脳裏で広がり、あなたにもスマイルが浮かんでくるかもしれません。

Smile – Herb Alpert
https://www.youtube.com/watch?v=f3xcybZ856Q

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koyama-fumihiko_prof

小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 「リンゴの赤」 をリリースした。

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