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#不安をやわらげる(中)未来を考えすぎず「今」に集中…ストレスに対処する「心の筋トレ」とは?

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 ストレスや不安に対処する方法の一つに「マインドフルネス」がある。「今この瞬間に意識を向けること」の訓練で、心の筋トレとも呼ばれる。精神医療で治療に使われるほか、社員研修に導入する企業もあり、ストレスでイライラや気分の落ち込みなどが生じる前に、普段から心を整える手段として活用されている。

 代表的な実践法は「呼吸」のトレーニング。座って目を閉じ、呼吸の回数を1から10まで数えることを繰り返し、おなかの膨らみやへこみを感じることを通じて、意識を今に向ける。最初は5分ほどから始め、徐々に時間を延ばす。もし途中で数が止まったり、雑念が浮かんだりしても、「うまくいかなかった」などと評価はせず、ありのままを受け止める。これによって自分を客観的に観察できるようになるという。

 福岡市は昨年、市内の医療・福祉などの事業者向けに、マインドフルネスを学んでもらう事業を実施。事業アドバイザーを務めた産業医科大(北九州市)の丸山崇准教授は「『今』に集中するのは、未来を考えすぎると不安が、過去を振り返りすぎると後悔や自己嫌悪が増すため。今の自分を冷静に見ることで、ストレスや不安も軽減していきます」と説明する。

 呼吸のほかにも、「体の部位を意識しながら歩く」「頭に浮かんだことを紙に書き出す」などの方法があり、通勤中や昼休み、就寝前や起床時などに行ってもいい。丸山さんは「少しずつでも毎日生活に取り入れ、心をトレーニングしてほしい」と呼びかける。

マインドフルネスの実践例

<ボディースキャン>

あおむけに寝転んだ状態で目を閉じ、20分ほどかけて、足、おなか、胸、頭など体の各部位の感覚に集中する

<ウォーキング>

足の裏、膝、手などに注意を向けて歩く。心の中で「右」「左」と唱えたり、息を吸うときに足を上げ、吐くときに下ろしたりしてもいい

<ジャーナリング>

紙とペンを用意し、5分ほどかけて、頭に浮かんだことをそのまま書き出す。「今気になっていること」「うれしいこと」などテーマを決めてもいい。最後に書き出したことを見直す

※丸山さんの話を基に作成。福岡市と共同で事業を実施した一般社団法人「マインドフルリーダーシップインスティテュート」のユーチューブの動画でも紹介している。

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