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定員422人に乗客5人、活気失われたフェリー「酒飲み盛り上がる客もいたが…」

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 船旅でわくわくするのは出航前だ。大きな荷物を持った人々が乗り込み、次第に船内がにぎやかになる。あの雰囲気が好きだ。

定員422人に乗客5人、活気失われたフェリー「酒飲み盛り上がる客もいたが…」

がらんとした「シルバーティアラ」船内。食事をしながらくつろげる公共スペースは椅子が半分になり、「黙食」「飲酒禁止」の貼り紙がある(7月28日、八戸港で)

 7月28日昼の青森県の八戸港フェリーターミナル(八戸市)。停泊する苫小牧行きの大型フェリー「シルバーティアラ」の船内は、出航が近づいても人けはなく、がらんとしていた。

 運航する川崎近海汽船(東京)によると、以前、この時期は観光や帰省、北海道で開かれるコンサートへ行く人々で混み合っていたが、現在は当時の半分にも満たない状況が続いているという。シルバーティアラの一般客室の定員は422人だが、この日は朝に接近した台風8号の影響もあり、乗船客は5人。その一人、札幌市の大工の男性(22)は「人がいないのはさみしい」とこぼす。

 乗船客も、船内での過ごし方を変えている。船内サービスを統括する事務長の男性(52)は「以前はお酒を飲んで盛り上がる客も多かったが、最近は部屋でおとなしくする人ばかり。すっかり静かになった」と明かす。

 船内の公共スペースのあちこちには「飲酒禁止」や「黙食」の貼り紙があり、椅子の数は半分に。キッズコーナーやゲームセンターは閉鎖され、修学旅行生らが使う団体用の広間は物置になった。客室の掃除の仕方は以前と変わらないが、川崎近海汽船ではベッドに「清掃済み」と書いたカードを置くようにした。乗船客に安心してもらうためだ。

 苦境の出口が見えない中、八戸支社の男性課長代理(36)は「とにかく感染対策が万全なことをアピールするしかない」と、乗客をつなぎ留めながら耐える日々を続ける。船内に再び活気が戻る日を夢見て――。

(古林隼人)

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