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郵便局クラスター、配達かばん・端末共用で拡大か…机も消毒徹底されず

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 長崎県佐世保市の佐世保郵便局で全配達員74人が新型コロナウイルスの感染者か濃厚接触者となり、配達業務が大幅に遅れた問題は、共用の郵便かばんや携帯端末機などを介して感染が広がったとみられることが、同市保健所への取材で分かった。共用物はどの職場にもあり、一歩間違えば会社や組織を機能不全にさせる可能性がある。識者は、物品消毒の徹底など基本的な対策の重要性を訴えている。

郵便局クラスター、配達かばん・端末共用で拡大か…机も消毒徹底されず

大規模な配達遅延が起きた佐世保郵便局(16日、長崎県佐世保市で)

 佐世保郵便局では今月3日、配達員2人の感染が確認された。その後、陽性報告が相次ぎ、市保健所は局内でのクラスター(感染集団)と認定。感染者は配達員12人を含む計14人に上った。

 市保健所が調べたところ、郵便物を入れるかばんや配達状況を記録する携帯端末機など、配達の際に持ち出す道具の共用が判明。感染拡大の要因として、ウイルスを持つ人と同じ物に触れることで起きる「接触感染」との見方を強めた。ウイルスが付着した手で目や口、鼻などの粘膜に触れると、体内に入り込む。郵便物の仕分けを行う際も同じ机を交代で使っていたが、消毒が徹底されていなかった。

 米国立衛生研究所(NIH)などの研究では、コロナウイルスの残存時間は布の表面で48時間、プラスチックで72時間とされる。市保健所は「全配達員がウイルスに直接触れた可能性を否定できない」とし、PCR検査で陰性だった配達員62人も濃厚接触者と特定し、自宅待機を要請した。

 同局側は「共用物の消毒が不十分だったことは否定できない」として指導に従った。市保健所の調査では、約180人の局員がマスクを着け、消毒液も複数、配備されていた。食事をとる休憩室はパーティションで仕切られ、くしゃみなどを介した「 飛沫ひまつ 感染」の対策も取られていたが、接触感染の防止対策は万全でなかった。

 問題を受け、同局は送風機を増やし、机の配置なども変更。日本郵便九州支社は「これほど影響が広がるのは想定外だったが、基本に立ち返り、感染防止を図っていく」とする。

 共用物を介した感染が疑われる事例は各地で相次いでいる。

 東京都営大江戸線で昨年12月~今年1月に運転士ら39人が感染したケースは、宿直所などにある洗面所の蛇口が感染拡大の要因の一つとされた。都交通局によると、運転士は歯磨きなどでこの洗面所を共用していたという。同交通局は保健所から指導を受け、洗面所にペーパータオルを置き、素手で蛇口などを触らないよう対策を講じている。

 8月下旬に北九州市の保育園でスタッフ5人と園児1人が感染した事案では、市はスタッフらが利用する共用パソコンなどを介して感染が広がった可能性があると判断した。福岡市も、今年1月にコールセンターで発生したクラスターについて、業務で共用するマイクや机の消毒が不十分だった可能性があるとした。

未配達は解消

 

 日本郵便九州支社は22日、同郵便局で最大約12万8000通に達した郵便物の未配達が、同日解消したと発表した。

キーボードにカバー有効

 

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 共用物を介した感染を防ぐにはどうすれば良いのか。

 職場や家庭内での感染対策に詳しい北九州市立八幡病院の伊藤重彦院長(地域感染対策)は、▽外出時に持ち出す物は使用前後に消毒▽部屋に入る前と、コピー機などを使う前に手洗いまたは手指消毒――の2点を徹底するよう助言する。

 伊藤院長は「共用パソコンのキーボードにカバーをするなど消毒しやすい工夫をするのも良い」と話した。

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