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産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」

医療・健康・介護のコラム

仕事人間の夫の定年退職で妻が胃痛に……ストレスを“感染”させないためにどうすればいい?

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仕事人間の夫の定年退職で妻が胃痛に……ストレスを“感染”させないためにどうすればいい?

イラスト 赤田咲子

 バリバリ仕事をやってきて出世もした仕事人間が、定年退職すると、新しい生活になじむのに苦労して、それが家族の重荷になることもあります。佐藤さんは63歳で大手メーカーを事業部長で定年退職しました。いままで大きな病気をしたことがないタフな仕事人間でした。専業主婦の妻と、2人の子どもがいます。ともに就職し親元を離れて生活しているので、現在は夫婦の2人暮らしです。

うちにいてやることがない

 退職後数か月間はお別れの会や挨拶状の処理などで多忙でした。一息ついたら、日々やることがない状況に直面したのです。仕事だけでなく、語り合う仲間や部下もいない。退屈で朝から一日中、動画を見ています。妻から、「何か趣味を持ったら」と勧められて、絵画教室に行きましたが、仕事のような達成感がないので、やめてしまいました。

 真夏にクラクラし、めまいや耳鳴りを感じて、初めて寝込んだのです。「耳鳴りがする。体がだるい。頭がしびれる」と訴え、近くの診療所を受診しました。

病院を転々とする

 主治医から「異常所見はありません。定年で、生活の変化があり体調を崩したのでは?」と言われました。しかし、めまいもあるし、何か病気を見落としているのではないかと心配になった佐藤さんは、総合病院の耳鼻科を受診。そこでも検査の結果、「身体に異常はありませんよ。メニエール症候群も考えられますが、ストレス病かもしれません」と診断されました。検査に通っている時の佐藤さんは、なぜか生き生きしていました。

 診断に不満だったので、次は大学病院の「めまい外来」や脳神経外科も受診しました。MRIなどの画像診断を含めた精密検査を受けましたが、メニエール病ではありません。妻の勧めでもう一度、近くの診療所を訪れたところ、メンタルクリニックを紹介されたのですが、彼は納得がいきませんでした。

妻、生活の急変に悩む

 これでは妻の方もストレスはたまるばかりです。夫が働いている時は、日中は自分のペースで家事や好きなことができました。しかし定年になり一日中家にいると、食事の心配もしないといけません。不機嫌な夫の応対で気が休まる間がないのです。「なんとかしてほしい」と悲鳴を上げたくなります。それで夫に趣味ができればと思い、絵画教室を勧めたのですが効果はなし。胃痛が発生したのです。夫のしかめっ面を見ると、キリキリと痛みが差し込んできます。

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夏目誠(なつめ・まこと)

 精神科医、大阪樟蔭女子大名誉教授。長年にわたって企業の産業医として従業員の健康相談や復職支援に取り組み、メンタルヘルスの向上に取り組んでいる。日本産業ストレス学会元理事長。著書に「中高年に効く! メンタル防衛術」「『診断書』を読み解く力をつけろ」「『スマイル仮面』症候群」など。新著は企業の人事や産業医向けの「職場不適応のサイン」ウェブ書籍「メンタル・キーワード療法~5分でできる簡易セラピー」。
夏目誠の公式ホームページ」「精神科医マコマコちゃんねる - YouTube

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