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シニア同士でフレイル予防…広がる「サポーター」 状態を互いにチェック

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 フレイル予防に取り組むボランティア「フレイルサポーター」が広がりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大で活動の場が制限される中、コロナ後を見据え、地道に準備を進めている。(小野健太郎、平井翔子)

シニア同士で予防・点検…支え合う「サポーター」広がる

フレイル予防啓発の紙芝居を練習するフレイルサポーター(8月23日、和歌山県紀の川市で)

 「我々サポーターも頑張りますので、ともにこのコロナ禍を乗り越えましょう」

 8月下旬、和歌山県紀の川市でフレイル予防を啓発する紙芝居の練習をしていたのは、NPO法人「フレイルサポート紀の川」のメンバー16人。読み手を交代しながら、「『自宅で実践』より『自宅で出来る』のほうがわかりやすい」「耳に残るしゃべり方で良かった」と意見を出し合った。

 同市では2017年2月にフレイルサポーターが誕生し、同年10月から本格的に市民向けのフレイルチェックの運営を始めた。19年には1年間で94回もチェックする会を開催。昨年10月には社会福祉協議会をはじめ、他機関との連携強化などを目的に、NPO法人化した。同市によると、サポーターのNPO法人は全国初だという。現在、74人のメンバーがいる。

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研修ではサポーター同士でチェックの方法を確認する(NPO法人フレイルサポート紀の川提供)

 新型コロナの感染拡大により、昨年2月からはフレイルチェックが実施できていない。そのため、SNSを活用し、たんぱく質を取ることができるフレイル予防応援メニューを作る動画を発信している。

 さらに、再開に向けた準備にも取り組む。研修を開いて、サポーター同士でチェックの方法を確認。フレイルチェックの際に参加者の前で披露する紙芝居の練習では、参加者が集まる時間を短くしようと、20分ほどかけていた紙芝居を10分ほどに短縮することにした。伝えたい情報をなるべく減らすことなく、半分の時間にするために議論を重ねている。サポーターの隅谷智恵美さん(66)は「測定機器の消毒などに時間がかかってしまうので、カットできるところはカットすることにした」と語る。

 同法人の畠中美文理事長(70)は「地域の健康づくりに貢献でき、活動している自分たちも楽しい。感染が落ち着いたときに向けて、しっかり準備を進めていきたい」と話している。

自治体の養成講座で学ぶ

 フレイルサポーターは、地域に暮らすシニア同士でフレイル予防に効果的に取り組んでもらおうと、東京大高齢社会総合研究機構が2015年頃から導入を進めた。フレイルかどうかを測定する「フレイルチェック」の運営が主な役割で、今年8月末現在、全国73自治体で活躍している。

 サポーターになるには、自治体が開催する養成講座を受け、予防の知識やフレイルチェックの測定実技を学ぶ必要がある。フレイルチェックでは、同機構が作成した質問項目が用いられ、「健康に気をつけた食事を心がけているか」「昨年と比べて外出の回数が減っているか」といった質問に「はい」か「いいえ」で答える。筋肉量の測定や滑舌テストなどの結果もふまえて、フレイルかどうか判断する。

 同機構の飯島勝矢教授(老年医学)は「元気なシニアで構成されるフレイルサポーターが、同世代の高齢者とフレイルチェックをすることで、お互いに高め合う雰囲気が出てくる。それは専門職種では出し得ないものだ」と語る。

自作のプログラム 効果証明

 高知県仁淀川町では今年4月から、フレイルサポーターが独自のプログラム作成に取り組んでいる。ストレッチをしたり、下肢の筋力強化につながる器具を使ったりと、サポーター数人が自ら“実験台”になって実践しながら、フレイルチェックで見つかった課題の改善に効果的なプログラムを検討している。

 検討段階で、すでに効果も表れているという。「要支援2」だったサポーターは、状態が良くなったため、認定が不要になった。筋力アップで、30秒間に椅子から立ち上がれる回数が16回から33回に増えた人もいる。

 プログラム作成は、サポーター側から「もっと健康づくりに関わりたい」と提案があって始まったという。町保健福祉課の片岡信博課長補佐(53)は「自分たちの健康を自分で取り戻す活動だ」と話す。

 同町は作業療法士と協力しながらプログラムを作り、来年度から住民向けに実施していく方針だ。

フレイル= 「健康」と「要介護」の間にある心身の調子が崩れた状態。「虚弱」を意味する英語「frailty(フレイルティ)」が語源で、65歳以上の1割が該当し、75歳以上で大きく増えるとされる。

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サポーターに認定されたバスガイド(神姫バス提供)

 同様の取り組みは観光業界にも広がっている。兵庫県のバス会社は10月から、サポーターに認定されたバスガイドと巡るツアーを始める。

 「フレイル予防バスツアー」を始めるのは、神姫バス(兵庫県姫路市)のグループ会社「神姫観光」。フレイル予防の3本柱とされる「運動」「栄養」「社会参加」をテーマに、ウォーキングしながらフレイルチェックをしたり、地元食材を使った筋肉強化に効果的な昼食を楽しんだりする内容だ。移動中の車内では、座ったままできる体操や、筋力アップや血流に良い献立例をバスガイドが紹介する。また、感染予防のため、座席の間隔を空け、除菌や換気を徹底。新型コロナの感染状況を見ながら運行したいとしている。

 8月には、老人ホームの利用者向けに模擬ツアーを開催。姫路城の絵を掲げながら豆知識を披露したり、音楽をかけてゆっくりと体を動かしたりした。参加者は笑顔で、いっしょに体を動かしたり拍手したりしていたという。

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介護老人福祉施設で模擬ツアーを開催するバスガイドら(神姫バス提供)

 神姫バスでは、コロナ禍による外出自粛でシニア層の路線バスの利用が減っていることに着目。「運動や社交の機会が減り、体力や気力が低下しているのではないか」という懸念から、バスツアーを考案した。

 今年2~3月には、同社のバスガイド3人を含む従業員14人が、公益社団法人・地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センターのサポーター養成講座を受講。6回にわたって、栄養の取り方や効果的な運動法などを学び、試験を経てサポーターに認定された。地域の福祉施設などでフレイル予防の知識を広め、地域のお年寄りを元気にすることも考えている。

 同社でバスガイド教育に携わる北本友香さん(46)は、「フレイル予防は、楽しく身につけることで継続的に取り組める。バスツアーならではの和やかな雰囲気の中で、予防法や知識を知ってもらい、日常生活に取り込んでもらいたい」と意気込みを語っている。

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