一病息災
闘病記
[フリーアナウンサー 笠井信輔さん]悪性リンパ腫(3)抗がん剤で脱毛、食欲不振…つらかったコロナで面会制限の「孤独」
フジテレビを退社し、フリーになるタイミングでがんが見つかった。すでに40件も仕事が入っている。「仕事をしたいので、通院しながら治療できませんか」とお願いしたが、「無理」と言われた。実際、甘い治療ではなかった。
2019年12月に入院。抗がん剤治療が始まった。3種類の薬を5日間24時間投与して、2週間休む。それを6回繰り返す。「治療を重ねるほどきつくなりました。 倦怠 感で起きていられないんですよ。完全にグロッギー。仕事なんてとても無理でした」
抗がん剤治療は翌年の4月まで続いた。脱毛もしたし、食欲不振もあった。しかし、一度も吐くことはなかった。「抗がん剤というと、ゲーゲー吐くイメージだったんですが、吐き気止めの薬がとてもよく効いて、むかつく程度。医療の進歩を実感しました」
薬の投与を終え、体力の回復を待つ2週間のうち、最後の数日は元気になる。そのタイミングでお見舞いに来てもらった。「入院中は不眠なんですけど、お見舞いの人としゃべると楽しいし、疲れてよく眠れるんですよ。お見舞いはありがたかったですね」
ところが、入院から1か月余りの20年2月には家族以外のお見舞いがなくなった。新型コロナ感染が広がったためだ。院内でも医師が感染。パンデミックを病院で体験することになった。「誰にも会えない孤独は大変なものでした」。制限は退院するまで続いた。
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フリーアナウンサー 笠井信輔 さん(58)
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