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災害時、自宅療養者の避難どうする…カギ握る自治体の事前準備

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 コロナ禍での災害時、自宅療養者や濃厚接触者をスムーズに避難させるには、自治体の事前準備が鍵を握っている。専用避難所の設置や情報共有などの対応は欠かせない。記録的な大雨に見舞われた8月は目立った混乱はなかったが、国内では毎年のように自然災害が発生しており、コロナとの複合災害への備えは急務だ。(出水翔太朗)

災害時、自宅療養者の避難どうする…カギ握る自治体の事前準備

昨年7月の九州豪雨で感染対策がとられた熊本県八代市の一般の避難所。長引くコロナ禍で自宅療養者専用の避難所確保が急務となる

 「避難した方がいいのでしょうか。その場合はどこへ行けば……」。大雨で浸水被害が相次いだ福岡県久留米市保健所に8月中旬、新型コロナウイルスの自宅療養者や濃厚接触者から避難すべきかを尋ねる電話が相次いだ。市保健所ではそのたび、担当者らが状況を聞き取り、避難が必要と判断した場合、消防に連絡するなどの手続きを取った。

 自宅療養者らが避難する場所は公表されていない。市側は公用車に乗せるなどして自宅療養者たちを専用の避難所に送った。避難所では、市職員がガウンや手袋などを装着して受け入れた。15日までの4日間で、濃厚接触者を含めて計13人が身を寄せたという。

 台風14号が福岡県に上陸した今月17日にも、浸水の恐れがある地域の自宅療養者に連絡し、避難するかを確認。避難者はなかったが、市の担当者は「自宅療養者らが、円滑に避難できるよう対応したい」と語る。

 同県飯塚市など7市町を管轄する嘉穂・鞍手保健福祉環境事務所でも8月の大雨で、担当者が自宅療養者に健康観察の電話をした際、自宅周辺の災害リスクも尋ねた。管内では200人以上の自宅療養者がおり、6、7人の担当者で確認。大雨の見通しをインターネットでチェックしながらで、一日がかりとなった。

 飯塚市では濃厚接触者の対応に追われた。事前の取り決めに沿って、同事務所から濃厚接触者のリスト数十人分を取り寄せ、ハザードマップで土砂崩れや浸水の危険がある住民らに警戒を呼びかけた。同事務所の井手修・保健衛生課長は「災害時を想定した事前の備えが生きた。感染がいつ収束するか分からず、当面はコロナと災害の両方に備えたい」と気を引き締めた。

 新型コロナの感染拡大を受け、政府の中央防災会議は5月に防災基本計画を修正。自宅療養者の避難先の確保や、居住先の危険状況を確認するよう求めている。自宅療養者は宿泊療養施設に避難することが原則だが、できない場合は避難所で受け入れる。専用避難所の開設などの詳細は、自治体に委ねられている。

 長野県飯田市では専用の避難所がなく、8月の大雨の際、対応に苦慮した。自宅療養者に、公共施設の駐車場で車中泊をしてもらえないかと打診。車中泊はエコノミークラス症候群につながる恐れもあり注意が必要だが、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」が広まっており、一般の避難所での受け入れを断念した。

 市は自宅療養者向けの避難所の確保に向け検討に入った。担当者は「市民の安全第一は変わらないが、コロナ禍で住民をどのように避難させるか難しい」と話した。

自宅療養2週間で半減

 

 全国で自宅療養している新型コロナウイルス患者は、15日時点で約6万人となり、過去最多となった1日時点の約13万5000人から半減したことが厚生労働省の集計でわかった。新規感染者が減っている影響とみられるが、第3波や第4波のピークを上回り、依然として高い水準にある。

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 1日時点で13万5859人だった自宅療養者は15日時点で6万532人。過去の波のピークと比べると、第3波の3万5394人(1月20日)、第4波の3万4537人(5月12日)の約1・7倍だ。

 この2週間で新規感染者は6割以上減少した。その要因について、厚労省の助言機関は、〈1〉連休や夏休みなどの拡大要因の影響が薄れ、長雨で外出する機会も減った〈2〉医療 逼迫ひっぱく などが大きく報道され、人々の行動が変わった〈3〉現役世代を含め、ワクチン接種が進んだ――などと分析している。

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