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「大麻は危険ではない」誤情報を鵜呑み、若者の摘発が増加…「使用罪」新設求める声も

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 山口県内で20歳代以下の若者が大麻取締法違反容疑で摘発されるケースが増加している。インターネットなどで「大麻は危険ではない」という誤った情報に触れていることが一因とみられる。県は若者に大麻の違法性を知ってもらうため、ツイッターで動画配信を始めるなど、対策に乗り出した。(立山芽衣)

「大麻は危険ではない」誤情報を鵜呑み、若者の摘発が増加…「使用罪」新設求める声も

大麻の違法性を訴える動画の一場面(山口県提供)

 「海外で合法になったというニュースを見て、興味を持った。作れるようになりたいと思った」。大麻取締法違反(栽培)に問われた男(22)は4月に山口地裁であった公判で、証言台に視線を落として答えた。

 判決などによると、男は温泉施設で知り合った男たちに「1グラム5200円で買い取る」などと大麻の栽培を持ちかけられ、昨年11月頃に防府市内で大麻草10鉢の栽培を始めた。

 メッセージのやりとりの履歴が残らないスマートフォンのアプリを使い、栽培方法のアドバイスを受けていた。そして、今年1月、ほかの20歳代の男3人とともに逮捕された。

 男は公判で「なんでやってしまったのか。両親や彼女に申し訳ない」と反省の弁を述べた。山口地裁は男に懲役1年6月、執行猶予4年の判決を言い渡し、確定した。

 

 過去10年間に県内で大麻取締法違反容疑で摘発された人数をみると、増加傾向にあるのが分かる。2012年は1人だったが、21年1月から8月末までに15人が摘発されており、すでに昨年1年間の摘発者数と並んでいる。

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 県警組織犯罪対策課によると、特に20歳代以下の摘発の増加が目立つ。12年はゼロだったが、20年は11人、21年は8月末までに12人に上る。県薬務課は、その背景にインターネット上で大麻の有害性や危険性に関するうその情報があふれ、若者が 鵜呑うの みにしていることがあると推察する。

 「大麻は医学的にも社会的にも危険な薬物」と話すのは京都大の金子周司教授(薬理学)。大麻を常習的に使用すると、脳の一部が 萎縮いしゅく して認知症になるリスクが高まる。視覚や聴覚を変調させる幻覚作用があり、車の運転などで他人に危害を及ぼす恐れもある。

 このような状況を受け、県は7月下旬から、若者が多く利用しているツイッターを活用した啓発活動を始めた。

 県内でツイッター利用者が「野菜」や「手押し」といった大麻に関する隠語を入力すると、童話「ジャックと豆の木」や昔話の「こぶとりじいさん」を模して、大麻の違法性を紹介する約20秒のアニメーションが配信される。

 

 県薬務課によると、8月末時点で約80万回配信された。同課の奥田千春さんは「思っていたより数字の伸びが大きい。動画を通して大麻の違法性を認識してもらい、安易に手を出さないようにしてほしい」と話す。

 県は今後、県民向けに大麻に関するアンケート調査を実施するなどし、様々な対策に生かしていく方針だ。

「使用罪」新設へ検討中

 

 現行の大麻取締法は大麻の所持や譲渡は禁じているが、覚醒剤取締法のように使用を直接罰する規定はない。有識者からは大麻乱用に歯止めをかけるため、「使用罪」の新設を求める声が上がっている。

 厚生労働省の検討会では6月、「大麻使用の罰則がないことが、『大麻は使用してもよい』という誤ったメッセージになりかねない」として、使用罪の必要性に言及。これを受け、厚労省は使用罪を盛り込んだ改正案の国会提出を目指している。

 ただ、厚労省の担当者によると、使用罪の立証方法や摘発の基準は定まっていない。金子教授は「大麻は他の薬物と違って体内からすぐに物質が消失してしまうため、使用の検査が難しい。立証方法などを十分に検討する必要がある」としている。

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