文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

男湯に女性従業員が入ってきて清掃 「不愉快」の声…法的に問題ないの?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 男性がスーパー銭湯に行けば、一度は体験したことがあるのではないでしょうか。私も少し気になることがありましたが、疑問を持つ人は少なくないようです。

男湯に女性従業員配慮して

女性従業員が立ち入る時、男湯の入り口に置かれる表示板(めぐみの湯提供)

 33歳の男性から、こんなメールが社会部に届きました。

 <男湯なのに女性従業員がよく入ってきて清掃しています。男だって不愉快な思いをします。もっと配慮が必要ではないでしょうか>

 確かに、女湯に男性従業員が入ることはあり得ません。

 銭湯は公衆浴場法に基づき、自治体から許可を受けて営業しています。各自治体に取材すると、同じような声が寄せられていました。

 大阪府環境衛生課によると、数年前から「女性が急に入ってくると困惑する。規制はないのか」という苦情が来るようになったといいます。法的にはどうなのでしょうか。

 客の混浴は各自治体が条例で年齢の上限を6歳や9歳などと定めており、大人の混浴は規制されています。客が異性の脱衣所に入ればトラブルになり、軽犯罪法違反などに当たる可能性があります。

 これに対し、従業員の業務については性別の規定はなく、施設側に任されているのが実情です。性差別の法的問題に詳しい森 りゅう 弁護士(第一東京弁護士会)は「異性の浴場の清掃が業務であれば、『正当な行為』とみなされ、軽犯罪法にも抵触しないだろう」と言います。

 問題の背景について、入浴文化の変遷に詳しい東京都市大の早坂信哉教授は、昔の銭湯の「番台」に着目します。両方の脱衣所を見渡せる位置にあり、早坂教授は「女性が務めることが多かった。その流れで女性が男湯に立ち入ることが、さほど抵抗感なく受け入れられてきたのではないか」と推測します。

id=20210919-027-OYTEI50000,rev=2,headline=false,link=false,float=left,lineFeed=true

 しかし、男性側の意識も昔と比べると大きく変化しています。性差別を考える機会が増え、「我慢せずに声を上げよう」という動きの一つなのかもしれません。

 最近は都市部を中心に、異性の従業員は入らないように徹底している施設も増えているようです。しかし、男女を常時勤務させるのが難しい施設もあります。地域や時間帯によっては働き手が集まらないこともあるようです。

 「女性作業員が清掃をしています」という表示板を置くようにしたのは、埼玉県三郷市の「めぐみの湯」です。

 同じような表示を、駅のトイレなどで見かける人も少なくないでしょう。この施設では男性客の苦情があり、3年前から始めたところ、苦情はなくなったそうです。

 一部の施設では、男湯の脱衣所が映る防犯カメラがあり、それを疑問視する声もあります。「女湯にはないのに、なぜ男性だけ撮影されるのか。プライバシーの面で問題だ」との意見が自治体に寄せられています。

 もちろん気にならないという人もいますが、銭湯は人が癒やしを求める場。誰もがリラックスできる環境作りが大切です。すぐには難しいかもしれませんが、できる限りの配慮を求めたいと思います。

今回の担当は

 梅本寛之(うめもと・ひろゆき) コロナ禍の大阪の保健所を主に取材。AI(人工知能)でお役所仕事どう変わるかの記事も書く。

身近な疑問や困り事、記事への感想や意見を寄せて下さい

 〒530・8551(住所不要)読売新聞大阪本社社会部「言わせて」係

 iwasete@yomiuri.com

 QRコードから「友だち追加」してください

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事