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「ネットで精子を」同性カップル増…病院で提供受けられず「個人間」頼みに

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 インターネットを介して第三者から精子をもらい、子どもを授かる同性カップルが増えている。医療機関で第三者の精子を使う生殖補助医療を受けられるのは、法律婚の夫婦に限られることが背景にある。国会では生殖補助医療のあり方が議論されており、当事者からは「性的少数者にも配慮してほしい」との声が上がっている。(川崎陽子)

■子が欲しい

 

 東京都のひなさん(41)(仮名)は昨年、ネットの掲示板で見つけた男性から精子提供を受け、長男を出産した。1歳の誕生日は、パートナーの和歌さん(30)(同)とお互いの両親で祝った。

「ネットで精子を」同性カップル増…病院で提供受けられず「個人間」頼みに

精子提供で授かった長男(中央)を育てるひなさんと和歌さん

 母から「人生で一番楽しかった頃の記憶に、いつもあなたがいる」と聞いて育ったひなさんは、ずっと子どもが欲しかったが、同性愛者のため諦めていた。30歳代半ばに子ども好きの和歌さんと出会い、二人で出産しようと決めた。

 二人は海外で結婚式を挙げ、4年間子を授かる方法を模索した。凍結精子を販売する海外の精子バンクは、日本人の提供者がおらず見送った。性行為を求められる危険性がないゲイの男性から精子提供を受けようと、ゲイバーで協力を求めたこともある。

 ネットで提供者を募り、同性愛者限定の掲示板でゲイの男性を見つけた。本名や勤務先を明かしてくれ、信頼できたため提供を依頼。和歌さんも同じ男性の精子で妊活中で、授かれば「異母きょうだい」となる。

 戸籍上は父親がいない長男だが、経緯を隠さず語るつもりだ。「周りから変だと言われても、この子が『これが僕のチームだから大丈夫』と言えるよう育てたい」と語った。

 

■「知人から」減

 

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 性的少数者の子育てを支援する一般社団法人「こどまっぷ」(東京)が今春、全国の性的少数者に行ったアンケート(有効回答数534)では、147人が子育て中と答え、うち6割弱が第三者から精子提供を受けていた。

 提供者は、「ネット掲示板やSNS、マッチングイベントで出会った人」が33・8%で最も多く、2019年の前回アンケートと比べ約10ポイント上昇。一方、「友人・知人」が19・7%(前回比12・6ポイント減)、「血縁のある家族・親戚」が7%(同10・6ポイント減)と知り合いからの提供は減った。

■安全面懸念

 

 現状では、医療機関で第三者の精子提供を受けられるのは、法的夫婦の不妊治療としてのみ。同性カップルや非婚で子を産み育てる「選択的シングルマザー」は、個人間の精子取引に頼らざるを得ない。

 ただ、個人間取引では精子の安全性を確認するのが困難などの問題もある。国会は生殖補助医療で生まれた子の親子関係を定めた民法特例法(昨年12月成立)の付則で、2年をめどにそのあり方を検討し、必要な措置を講じるとした。子が自らの出自を知る権利や、対象を法的夫婦以外に広げるかなども議論している。

 こどまっぷの長村さと子代表理事は「子を持ちたいのは性的少数者も同じ。子を産み育てられる選択肢を整えてほしい」と話す。

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