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子どもには申し訳ないが…「自主休校」で家族の安全守る選択、外出は人の少ない公園くらい

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 新型コロナウイルス感染への不安から、学校に子供を登校させない「自主休校」を選ぶ家庭が2学期になって増加した。感染の「第5波」で10歳代以下に急拡大したことが引き金だった。文部科学省は各教育委員会にオンラインも活用した学習支援を求めているが、格差を懸念する声が上がる。(北瀬太一)

 

「家族の安全守るため」

 

子どもには申し訳ないが…「自主休校」で家族の安全守る選択、外出は人の少ない公園くらい

 大阪市立小2年の女児(7)は8月26日に始まった2学期を3週間近く休んだ。4人きょうだいの最年長で、1番下の長男は1歳に満たない。学校で感染し、家族にうつすことを懸念した父親(39)が登校を控えさせた。

 コロナのワクチン接種は両親ともに1回目が済んだだけ。父親は「病床が埋まり、適切な医療を受けられるか分からないなか、家族の安全を守るための選択をした。学校が好きな娘には申し訳なかった」と明かす。

 女児の通う小学校では、3~6年生が感染不安で休む場合は学習用端末を活用し、オンライン教材やライブ配信される授業で学ぶ。一方、端末に慣れていない1、2年生は学習プリントが配布された。育児休業中の父親が学習に遅れが出ないよう女児の勉強を見た。外出は人の少ない公園で遊ぶくらいだったという。

 市内の感染状況に改善の兆しがあったため、女児は13日に登校を始めた。父親は「家庭の事情なので仕方ないが、少しでも友達の顔が見られるよう、朝礼や終わりの会だけでもオンラインでつないでもらえるとありがたかった」と話す。

 大阪市教委によると、市立小中学校で2学期が始まった8月25日~9月3日に感染不安で休んだ児童生徒は、最も多い日で全体の4%にあたる約6500人。松井一郎市長は「学校に来られない子はオンラインを活用して学べるようにする」と話すが、対応は学校に委ねられている。

 市立小の校長は「オンライン学習は学校、教員によって習熟度の差が大きく、十分にできないケースもある」と認める。

1学期の9倍

 

 コロナに感染する不安から自主的に学校を休む児童生徒は昨春の一斉休校後からいたが、今年の2学期に入り各地で急増した。こうした「自主休校」について、学校教育法などには規定がない。文科省は感染への不安で学校を休んでも校長が合理的であると判断すれば「欠席」とせず、忌引などと同じ扱いにできると全国の教委に繰り返し通知。入試で不利な取り扱いをしないよう学校設置者に要請している。

 厚生労働省によると、8月31日までの1週間に10歳代以下の感染者は全国で2万7681人で、5週前の約5倍になった。

 神戸市では新学期初日の9月1日に、市立小中学校などで約1250人(全児童生徒の1%)が感染への不安から登校しなかった。夏休み前の141人から9倍に増えた。福岡市では9月6日に約4800人(同4%)、13日は約3500人(同3%)が休んだ。

オンライン学習、自治体で差

 

 自主的に休む児童生徒のために、オンライン学習を充実させる動きが広がる。

 大阪府枚方市は、感染不安で登校を控える子に全ての授業をライブ配信し、自宅でも端末で同じ授業を受けられるようにした。同府箕面市は1日に新しい学習支援ソフトを導入。端末上で課題を解くと教員が添削でき、対面に近い学びが可能になるという。

 一方で、名古屋市は、端末の配備を終えたのが7月末と遅れたこともあり、子供に使い方を十分に教えられていない学校もあるという。9月1~3日の平均で全体の3%にあたる約5000人が感染不安から休んでおり、市教委担当者は「一刻も早くオンラインでの学びを保障できる態勢を整えたい」と危機感を募らせている。

 国際大の豊福晋平准教授(教育工学)の話「感染状況から保護者が登校させないと判断するのも現状ではやむを得ない。登校しない子が学校から切り離されないよう、短時間でもいいので端末で教室とつなぐことが大切。コロナは『第5波』で終わらない。次の感染拡大に備えて課題を整理し、改善するべきだ」

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