新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
54歳で大動脈解離を発症し緊急手術 検査で大動脈弁閉鎖不全症が見つかる
ここは、ある下町にあるという架空のカフェ。オーナーののぶさんのいれるコーヒーの香りに誘われ、今日もすてきなゲストが訪れて、話が弾んでいるようだ。(ゲストとの対話を、上下2回に分けてお届けします)

【今月のゲスト】
福原斉(ふくはら・ひとし)さん
1959年生まれ。一般社団法人心臓弁膜症ネットワーク代表理事。2013年、54歳の時に職場で急性大動脈解離を発症し、緊急手術。上行大動脈を人工血管に置換した。55歳で脳梗塞(こうそく)を発症し、治療に専念するために退職した。弓部大動脈を人工血管とオープンステントグラフトに置換するとともに、大動脈弁閉鎖不全症で弁置換(機械弁)の手術を受ける。56歳の時に東京都町田市で里山再生、保全、維持活動をする「まちだ結の里」へ入会。57歳で下行大動脈にステントグラフトを挿入、58歳で冠動脈狭窄(きょうさく)症に対するバイパス術、大動脈基部を人工血管に置換する手術、大動脈弁置換(機械弁摘出、生体弁へ置換)手術を受ける。59歳の時、一般社団法人心臓弁膜症ネットワークを設立する。
・一般社団法人心臓弁膜症ネットワーク:https://heartvalvevoice.jp/
心臓弁膜症ネットワーク代表理事の福原斉さん(下)
今日のカフェには、心臓弁膜症という病気をもつ福原斉さんがお越しになり、カウンター越しに私と話をしている。これまで、この病気についていろいろとお話を聞いた。
そもそも、福原さんの心臓弁膜症が見つかったきっかけは、何だったのだろうか。
「私のきっかけはね、大動脈解離という病気なんです」
心臓から全身に血液を送り出す大動脈という血管の内側の膜が突然裂けてしまう病気で、激しい胸の痛みを伴う。緊急手術が必要で、命にかかわる病気だ。
心臓にかかわる主な病気には、心臓を動かす心筋に栄養を運ぶ血管(冠動脈)が詰まる心筋梗塞(こうそく)などや、心臓の弁が傷んでしまう心臓弁膜症、大動脈解離のような心臓につながる血管の病気がある。
55歳で会社を辞めて 心臓弁膜症の啓発活動に
「大動脈解離をきっかけに体を調べたら、心臓弁膜症もあることがわかり、併せて治療することになったので、運が良かったと言えますね」
だからこそ、「心臓弁膜症の早期発見が進むように、もっとみなさんにこの病気を知ってほしい」と、福原さんは言う。
55歳で大動脈解離の再手術をすることになったのをきっかけに、勤めていた会社を辞めた。時間ができたなかで、自分のできることを模索し、心臓弁膜症を社会に広める必要性に着目した。
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