五十肩痛み 通院も中断
左肩が上げられず後ろに回せなくなり「五十肩」と診断されました。整形外科に週2、3回通い、マッサージなどをしましたが、毎回とても痛くて2か月弱でやめました。(73歳女性)
腱板断裂疑いも 専門医受診を
菅谷 啓之 東京スポーツ&整形外科クリニック院長(東京都豊島区)
五十肩は、中高年に明らかな外傷がなく発症し、肩の痛みと関節が自由に動かなくなるのが特徴です。40~60代で多く、まれに30代や70代でもみられます。
加齢や、運動不足によって背骨や 肋骨 の柔軟性や肩甲骨の可動性が低下し、日常動作で肩関節に負担が集中して炎症が起こります。肩周辺の筋肉の緊張が高まり動作が制限され、やがて肩関節が硬くなり、動きが悪くなります。
炎症が強く、夜中も痛み、睡眠障害がある時は、安静にして、注射や薬で炎症を抑えます。痛みが消えて眠れるようになったら理学療法を始めます。
五十肩の診断は専門医以外は難しく、鑑別すべき疾患に 腱板 断裂や石灰沈着症などがあります。質問者の年齢から疑うべきは、肩の骨とつながる板状の筋肉が断裂する腱板断裂です。専門医を受診し正確な診断を受ける必要があります。
肩を使う動作は全身運動です。腕を動かしている時、無意識に背骨や肋骨、肩甲骨が動いています。運動不足が続くと、背骨や肋骨の柔軟性が自然と低下し、ちょっとした動作で腕を使った時に五十肩になります。
予防には、骨盤を含めた背骨や肋骨の柔軟性を保つことが大切。座って深呼吸をして胸郭を広げたり丸めたりする運動を日常的に行うことをお勧めします。