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わたしのビタミン

医療・健康・介護のコラム

障害のある人、シングルマザー…困難を補いあい年商1億3000万円

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クッキー製造のソーシャルファームを運営する…中崎ひとみさん(57)

障害は個性 補いあい戦力に

 ソーシャルファーム(社会的企業)は、就労に様々な困難を抱える人が、一般従業員の支援を受けて働く企業や団体のことです。

 がんばカンパニーの工場では、一般の企業で働くのが難しい障害者や、子育てで勤務時間に制約のあるシングルマザーら約60人が力を合わせ、クッキーを焼いています。天然素材を用いた「がんばクッキー」を中心に、生産量は1日最大1トン。デパートや自然食品の販売店など県内外に販路が広がり、ここ数年は年商約1億3000万円を上げています。コロナ禍でも、外出自粛の中で通販の需要が伸びていて、売り上げを維持することができています。

 働き手の多くは、知的障害や身体障害を抱えています。健常者であれば、1人で小麦粉を袋から製造機器に投入できますが、うちの工場では複数の人の手がかかります。ただ、「非効率」は織り込み済み。いかに乗り越えるか、一緒に働く中で適性を見極めます。

 集中力を発揮して、クッキー生地を等間隔にカットする自閉症の従業員。動作はゆっくりでも、パッケージのラベル貼りを寸分たがわずに完了させる知的障害の従業員。障害者の数だけ特長があるのです。

 車椅子に乗る従業員を知的障害の従業員が補助し、シングルマザーの従業員が工程を管理することも。何人かを組み合わせることで、一つの「戦力」になる体制を取っています。

 滋賀は「障害者福祉の父」と言われる糸賀一雄氏(1914~68年)の活躍で、障害者への理解が深い土地柄。私は信楽焼で知られる滋賀県信楽町(現甲賀市)で生まれ、陶器工場で働く知的障害者の姿を見て育ちました。そのため、「障害も個性の一つ」という感覚が根付いています。

 一般の企業で働くのが難しくても、福祉で守られて生きる道だけではありません。ソーシャルファームは、就労に困難を抱える人にとって、もう一つの選択肢だと考えています。

 東京都は今年から、ソーシャルファームの育成に乗り出しました。公的な支援の動きが全国に波及するのを期待しています。(聞き手・野島正徳)

なかざき・ひとみ  1964年、滋賀県生まれ。91年、大津市で障害者の食品販売事業所に勤務。ソーシャルファーム「がんばカンパニー」として事業を拡大し、2003年から運営法人の常務理事。社会的企業の普及を推進する団体「ソーシャルファームジャパン」の事務局次長も務める。

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