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「ピンチはチャンス」コロナで新たな働き方模索…「在籍型出向」が倍増・副業でスキル磨く

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 在籍型出向、副業、転職――。長引くコロナ禍で企業の人材の流動化が進み、新しい働き方が広がっている。旅行、飲食など各業界で苦境が続くが、「ピンチはチャンス」と前向きに人生を歩む人も少なくない。(大塚美智子)

在籍型

 

「ピンチはチャンス」コロナで新たな働き方模索…「在籍型出向」が倍増・副業でスキル磨く

日本航空のグループ会社から自動車販売店に出向し、接客のスキルを生かして働く豊野さん(千葉県船橋市で)=青木瞭撮影

 「いらっしゃいませ!」。トヨタの高級ブランド車を販売する「レクサス船橋」(千葉県船橋市)。客が来店すると、受付の女性がさわやかに声をかけ、商談用の部屋に案内した。

 女性は日本航空のグループ会社員、豊野佳奈さん(35)。会社と雇用関係を維持しながら社外で働く「在籍型出向」で、今年2月からレクサス船橋に勤務する。顧客の案内や電話対応などが主な業務だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で旅行客が激減し、日航グループでは出向などで1日当たり最大約1800人(6日現在)が社外で働く。入社7年目の豊野さんは成田空港の国際線カウンターで勤務していたが、昨年12月に出向を打診され、「自分自身の成長につながるのなら」と受け入れた。

 レクサス船橋側は、航空会社の接客のノウハウを吸収するのが目的だ。豊野さんの働きぶりに、同店ゼネラルマネジャーの松田英二さん(48)は「さりげない感謝の言葉など、気遣いがこまやかで、教えられる点が多い」と明かす。

 勤務開始から半年余り。豊野さんは「スピード感が求められる空港の接客と違い、より丁寧な対応が必要で、とても勉強になっています」と話した。

週1~2回

 

 新型コロナの影響による仕事や給与の減少などを受け、社員に副業を認める企業も増えている。

 キリンホールディングスは昨年7月以降、社外で知識や経験を深める目的での副業を容認。社員約40人が専門知識を生かした執筆や講演、デザインの受託などを行っているという。

 その一人、金田大樹さん(27)は苦境が続く外食産業の営業担当だった昨年8月、学生時代にインターン経験のあるスポーツクラブ運営会社に「就職」。夜間に週1~2回の勤務で、経営者やトップアスリートらの人生観に迫るセミナーをオンライン配信する業務に携わり、報酬を得ている。

 「大企業と新興企業の両方で働くことで、物事を客観的に考える力を養えている」と金田さん。キリンホールディングスは「副業で磨いたスキルを本業に生かしてほしい」と期待する。

心機一転

 

 コロナ禍で心機一転し、転職する人もいる。

 航空会社のキャビンアテンダント(CA)だった上田 ひかり さん(25)は昨年、国際線の減便による自宅待機が続き、給与も約2割減少。「このままではキャリアアップもできない」と退社を決め、今年1月、転職サイトで見つけたPR会社「 Enjinエンジン 」(東京)に入社した。

 取材先を探すメディアと各分野の専門家をつなぐマッチングサイト「メディチョク」の広報を担当している。同社は今年6月、東証マザーズに上場しており、上田さんは「成長著しい会社で働くのが楽しい。新しいことにどんどん挑戦していきたい」と意気込む。

「コロナで転職活動」63%

 

新型コロナの影響による人材の流動化は、様々なデータからもうかがえる。

 在籍型出向の仲介を手がける産業雇用安定センターによると、昨年度の出向成立数は3061人で、前年度の約2・5倍。業務委託仲介会社「ランサーズ」によると、副業をする人は今年2月時点で推計439万人に上り、前年の420万人から19万人増えた。

 リクルートが今春行った調査では、転職活動を始めた約1000人のうち63%はコロナが理由だった。複数回答で詳細を聞いたところ、コロナ下で「会社の戦略や方向性に不安を感じた」が最多の35%で、「よりやりがいのある仕事をしたいと思った」が26%だった。

 リクルートの藤井薫・HR統括編集長(55)は「コロナ下で多くの人が自身のキャリアを見つめ直し、働き方の多様化が進んだ。今後もこうした流れが続いていくだろう」と話している。

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