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一病息災

闘病記

[シンガーソングライター 岡村孝子さん]白血病から回復して2年9か月ぶり復帰コンサート……「もう、ダメかもしれない」と思ったことも

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 シンガー・ソングライターの岡村孝子さん(59)が、血液のがん、白血病と診断され、治療のために休養してから2年9か月ぶりに、元気にステージに戻ってきた。7日に東京・渋谷のLINE CUBE SHIBUYAで開かれた「ソロデビュー35周年記念&復帰コンサート2021 Hello Again!」。オープニングの曲に続いて、「ただいま!」とあいさつ。新型コロナウイルスの緊急事態宣言の中、静かに拍手を送る3階席までの観客に向かって手を振りながら、12曲を1時間50分時間にわたり歌い上げた。

ファンの励ましの声に心の中で泣いた

 岡村さんは2019年4月、急性骨髄性白血病と診断された。血液を作る骨髄で白血病細胞が増える10万人に2人の病気だ。5月のニューアルバム「fierte(フィエルテ)」の発売を受けたツアー、6月の全国植樹祭では天皇皇后両陛下の前でテーマ曲「と・も・に」の歌唱も予定されていたが、予定は消え入院してゴールの予想がつかない治療を始めることになった。「悔しくて、悲しくて、苦しかった……」とステージ上で振り返った。

 抗がん剤治療を繰り返してがん細胞を減らし、血液を作る細胞を持つ赤ちゃんのへその緒と胎盤にあるさい帯血の移植を受けた。治療でつらかった時期の日記には「吐き気と耳鳴りがジェットコースターみたい」とあるという。体調が悪いと、「もうダメかもしれない」と弱気になることもあった。そんな5か月の入院中は、ファンからの励ましに元気づけられた。

 コンサートでは、「励ましの声を読んでは心の中で泣きました。たくさんの千羽鶴もうれしかった。万羽鶴です。みなさんに支えられていると思いました」と語った。9月に退院した時には体重は12キロ減り、自宅の玄関の階段も一人では上れないほど衰えていた。その後、体力は順調に回復し、昨年7月には、医師からコンサートも大丈夫と言われたが、今度は新型コロナ禍でコンサートを開ける状態ではなかった。

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