田村専門委員の「まるごと医療」
医療・健康・介護のコラム
ピーナツの摂取量が多いと脳梗塞の発症リスクが低下
国立がん研究センターなど「多目的コホート研究」グループ
ピーナツの摂取量が多い人は少ない人に比べて、脳梗塞(こうそく)の発症リスクが低いとの研究結果を、国立がん研究センターなどでつくる「多目的コホート研究(JPHC研究)」の研究グループが発表した。
ピーナツには、不飽和脂肪酸やミネラル、ビタミン、食物繊維などが多く含まれている。欧米の先行研究では、摂取が循環器疾患の予防に有効であるとされているが、アジアからの研究報告は初めてとしている。
米医学誌「Stroke」(オンライン)に9月9日掲載された。
7万5000人を追跡調査
1995年と98年に、岩手や秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎の9保健所管内に住む45~74歳の人で、食事アンケートに回答し、循環器疾患やがんになっていなかった約7万5000人を2012年まで追跡調査した。
摂取量が少ない順に四つのグループに分け、最も少ないグループを基準として比較した。脳梗塞や脳出血などの脳卒中と、心臓の筋肉に栄養を運ぶ冠動脈が詰まることで起きる心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症リスクを調べた。年齢、性別などによる影響を統計学的に調整した。
脳卒中全体で16%減、脳梗塞は20%減
追跡期間中に3599人が脳卒中(うち脳梗塞2223人)を、849人が虚血性心疾患を発症した。その結果、ピーナツの摂取量が最も少ないグループ(1日当たりの摂取量の中央値0グラム)に比べて、最も多いグループ(同4・3グラム)は、脳卒中全体で16%、脳梗塞に限ると20%、発症のリスクが低かった。
脳卒中のうちの脳出血と、心筋梗塞などの虚血性心疾患では、摂取量との関連はみられなかった。
脳卒中と虚血性心疾患を合わせた循環器疾患全体では、脳卒中のリスク低下によって、13%リスクが低下した。
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