シニアとお金
医療・健康・介護のコラム
「安定した老後」は支出の見直しから…“見える化”して不要な項目削る

定年退職などで仕事を離れた後の収入減は、家計への影響が大きく、不安が先行しがちだ。その時になって慌てないためにも、できれば50歳代のうちに基礎的な情報収集と準備を始めておきたい。
安定した老後を送るためには、収入減を踏まえた「支出」の見直しが不可欠だ。まず、「自分が日常生活でお金をいくら必要としているか」を把握することが、第一ステップとなる。家計簿をつけることが理想だが、苦手な人は月単位の支出を、思い出しながら表に書き出してみたい。
ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは「正確でなくてもいいから、まず頭の中にある漠然とした支出を“見える化”することが大事」と話す。書き出したものを「必要な支出」「削れる支出」に仕分けしていく。
高齢期には家族構成や生活スタイルも若い頃と比べて大きく変化するため、削減できる支出は意外と多くある。例えば、十数年続けている保険の契約項目に不要なものはないか、携帯電話の契約で不要な項目を払い続けていないか、といったものだ。
クレジットカードの年会費など、自動的に契約が更新される支出も、面倒がらずに一つずつ点検していきたい。「欠かせないと思っていた支出も、見直してみると、不自由なく暮らせる場合が少なくない」と横山さんは指摘する。
固定資産税や自動車税など年単位の支出も忘れずに書き出しておきたい。家屋の改修や介護費用など、まとまった額の支出は、貯金の取り崩しなどが必要な場合もある。別枠で備えておくと安心だ。
ただ、趣味や食事など、生きがいとなっている支出がある時には、無理にあきらめず、体力に応じて働いた収入でカバーする方法もある。働く意欲にもつながる。
支出を見直すことで“どんぶり勘定”から脱し、人生の新しい段階に適応していくことは、安定した高齢期の家計設計には必須だ。雇用制度や年金などの社会の変化にも気を配りながら、高齢期に備えたい。(栗原守)
今回から「支出の見直し」について知識やヒントを紹介していきます。
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。