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吉村知事「受験を潰されないように」…各自治体が10代接種急ぐ

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学校・家庭での感染拡大懸念

 新型コロナウイルスの感染「第5波」で、自治体などが10歳代へのワクチン接種を急いでいる。若い世代の感染者が急増し、2学期がスタートした学校や子育て中の家庭での感染拡大が懸念されるためだ。受験を控える学年を中心にワクチンの優先接種枠を設ける自治体も出ている。

予約すぐに埋まる

 

吉村知事「受験を潰されないように」…各自治体が10代接種急ぐ

大阪府庁

 福井県の大規模接種会場となっている福井市内の商業施設「エルパプラス」では4日、12歳以上の小中高生の優先枠が設けられ、約60人が訪れた。越前市の中学1年の女子生徒(13)は接種を終え、「しっかり予防したい。コロナが早く収束して、友達と思いっきり遊んだり、家族で遠出したりできるようになってほしい」と願った。

 8月26日までに県内で2回の接種を終えた住民(医療従事者らを除く)は45・8%だったのに対し、15~19歳では13・6%。12~14歳は5・8%にとどまっていた。県は優先接種枠を9月4、5、11、12日に計240人分設けたが、すぐに予約が埋まった。このため、9月中旬以降にもさらに240人分の枠を設ける。担当者は「未接種の人が多い若い層が早期に接種できる環境を整え、学校と家庭で感染が拡大するのを防ぎたい」としている。

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 児童・生徒を優先する動きは広がっている。

 広島県尾道市では8月中に、12~15歳の小中学生の親子200組が1回目の接種を市役所で受けた。夏休み期間中は親子で一緒に動きやすいためだ。兵庫県養父市は12~22歳が夏休みに受けられるよう、優先して接種券を発送した。

 大阪府は9月29日~11月21日に府庁で、大学受験を控える高校3年生や浪人生対象の優先接種を実施する。40、50歳代と合わせて2万人分を確保した。吉村洋文知事は「人生を左右する受験がコロナで潰されないようにする」と話す。

部活・塾でクラスター

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 文部科学省などは6月、接種に伴う差別やいじめにつながる恐れがあるとして、学校での集団接種を「現時点で推奨しない」と都道府県に通知。実施する場合は接種が強制とならないよう配慮を求めた。各自治体は学校ではなく、一般の人も接種する会場で、希望した子どもを対象にするなど工夫している。

 自治体が急ぐ背景には、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」の 蔓延まんえん がある。以前は子どもは感染しにくいとみられてきたが、厚生労働省によると、8月31日までの1週間に10歳代以下の感染者が全国で2万7681人と、5週前の約5倍に。全世代に占める20歳未満の割合は20%を超えている。

 夏休み期間中でも、部活動や学習塾でのクラスター(感染集団)が各地で発生。2学期が始まった学校で感染した子どもが家庭に持ち帰り、親世代で感染が広がることも懸念されている。

大学で職域接種

 系列の大学での職域接種を利用する動きもある。

 学校法人神戸女学院(兵庫県西宮市)は8月30日から、神戸女学院大の学生や教職員を対象にした職域接種で中学部と高等学部の生徒を受け入れている。

 保護者の要望を受けた措置で、中高生の約4割にあたる約350人が希望した。放課後に実施し、7日までに1回目を終えた。若い世代は副反応が出やすいとされていることから、接種後の生徒からの相談を校医が24時間態勢で受け付ける。

 愛媛大付属中高(松山市)でも大学の職域接種に合わせて、希望する生徒に接種した。

 子どもの接種に関しては、国が米モデルナ製と米ファイザー製のワクチンについて対象年齢を12歳以上としている。日本小児科学会が「接種は意義がある」との見解を示し、政府も「16歳以上と同様の有効性と安全性が期待できる」とする。

 神戸市教育委員会で新型コロナウイルス感染症対策アドバイザーを務める服部益治・兵庫医科大特別 招聘しょうへい 教授(小児科)は「ワクチン接種は個人だけでなく、家族の心身の健康や、学びの場である学校、社会全体を維持することにつながる。接種が強制にならないよう配慮は必要だが、感染力が非常に強いウイルスから身を守るのに役立つ」と話す。

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