介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
「介護休業」と「介護休暇」ってどこが違うの?…うまく使って仕事との両立を
「働きながらの介護は体力的に限界」「職場に迷惑をかけたくない」――。もし、そう思い詰めて会社を辞めるつもりの人がいたらちょっと待ってください。介護と仕事の両立のため、「介護休業」「介護休暇」という制度があります。
共に仕事を休むための制度で、1文字違いですが、内容は大きく異なります。
「介護休業」は、介護が必要な家族1人につき93日まで休めます。仕事と介護を両立できるように準備する時間と考えてください。
まとまった休みを使い、介護保険を利用するための手続きをしたり、実際に使う介護サービスを選んだりするイメージです。3回まで分割して取得できます。
もう一つの「介護休暇」は、介護が必要な家族が1人の場合で、年に5日です。介護や送迎、病院への付き添いなどで短時間の休みが必要な時に有効です。
今年1月から、1時間単位での取得が可能になりました。就業時間が1日8時間なら、1時間ずつ40日間に分けることも可能です。
ただ、始業時間から、または、終業時間までの連続した時間での取得が基本です。仕事を途中で抜けてまた戻ってくる「中抜け」を認めるかどうかは、会社の制度設計に委ねられます。
「介護休業」は、給料が出なくても、雇用保険から給料の67%分の給付金が支払われます。一方、「介護休暇」にはこうした仕組みはなく、有給か無給かも勤務先の規定によります。
両制度とも、就業規則になくても、原則、従業員が求めれば取得が認められます。ただし、入社直後や週の勤務日数によっては取得できない場合もあります。
「産業ケアマネジャー」として介護と仕事の両立を支援する東京海上日動ベターライフサービスの泉 洋枝 さん(54)は「施設や介護保険サービス、家族との連携など、まとめて態勢を整えることが両立のカギ。早めに会社に相談しましょう」と呼びかけています。
具体的な活用の仕方を見ていきましょう。
愛知県の男性会社員(44)は2年前、遠方の実家で暮らす父親(78)が認知症と診断され、両親と同居することを決めました。引っ越しやケアマネジャーへの相談に、時間が必要でした。
製造業の会社で働く男性は当時、管理職になったばかり。「休めば会社に迷惑をかけ、昇進にも影響するのでは」と不安になり、上司や人事課に相談すると、「介護休業」の取得を勧められました。給付金のことも教えてもらい、1か月、仕事を休みました。
この期間に、父親のデイサービスや母親のリハビリ施設の申し込みを済ませた男性は「両親を近くで支えられる環境を整えられました」と話します。通院やケアマネジャーとの定期的な面談には時短勤務や有給休暇を使っていて、「必要に応じて介護休暇も活用したい」と考えているそうです。
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