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今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」

医療・健康・介護のコラム

点鼻薬でコロナの症状が早期改善!? 各国で研究進む一酸化窒素の有用性

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鼻呼吸なら大量のNOが放出される

 適切な濃度であれば人体に有用どころか、コロナ対策にもなる可能性を秘めたこのNOですが、鼻呼吸と口呼吸では、その濃度に極端な差が生まれることが分かっています。図を見てください。吐く息のNO濃度を測定していますが、鼻呼吸の時は呼吸に合わせてNOが増加しています。ところが、口呼吸に変えた途端にNOの濃度が0ppb近くにまで減少しています。

点鼻薬でコロナの症状が早期改善!? 各国で研究進む一酸化窒素の有用性

(JOHNS 12-5 1996 P648 より筆者改編)

 NOは、そのほとんどが鼻腔、特に副鼻腔から供給され、吸い込んだ空気の浄化や、気管支まで到達して気管支を広げて酸素をしっかりと取り込む役目を果たしているのです。

 口呼吸では、鼻毛などの物理的なバリアがないことが空気中の異物除去には不利ですが、NOという目には見えないバリアもない、というさらに不利な状態になるのですね。もう鼻と口、どちらで息をすればいいのか迷うことはありませんね。コロナ対策にも鼻呼吸なのです。鼻呼吸時のNO濃度は、代表的な日和見感染症原因菌である緑膿りょくのう菌を抑え込むのに十分です、そのおかげもあって副鼻腔は無菌状態が保たれています。

さらに鼻の苦味受容体が大活躍

 鼻には、さらに驚くべき対微生物バリアが備わっています。それが苦味受容体です。甘さや苦さ、しょっぱさなどを感じる味覚受容体は、味を感じる舌だけではなく、体全体に分布していることが分かっています。鼻には甘味と苦味の受容体がありますし、脳にも甘味受容体が見つかっています。中でも、免疫を高める上で特に重要となるのが苦味受容体。鼻粘膜の線毛上皮に苦味受容体が存在します。

点鼻薬でコロナの症状が早期改善!? 各国で研究進む一酸化窒素の有用性

 では何を“苦味”として感知しているのかというと、外来微生物の出すある特殊な物質です。プラーク(細菌の塊)をつくるために微生物同士も情報交換をしていますが、その情報物質があるということは、そこに微生物がいてプラークをつくろうとしていること、つまり感染を引き起こす引き金となります。

 苦味受容体は、これをいち早く察知して、上皮細胞からNOを放出します。ここでも異物殺傷物質としてNOが活躍します。空気中の大部分を占める窒素(N)と酸素(O)、この二つの単純な組み合わせの物質が私たちの体を守り、維持するために活用されているのは実に驚くべきことです。

 マスクをしているとどうしても口呼吸になりがちです、マスクをした上で鼻呼吸を心がけて、鼻腔内のNOを活用してコロナに感染しない体を保ちたいものですね。(今井一彰 みらいクリニック院長・内科医)

(参考文献) https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0163445321002516 [Clinical efficacy of nitric oxide nasal spray (NONS) for the treatment of mild COVID-19 infection]

 

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今井 一彰(いまい・かずあき)

 みらいクリニック院長、相田歯科耳鼻科内科統括医長

 1995年、山口大学医学部卒、同大学救急医学講座入局。福岡徳洲会病院麻酔科、飯塚病院漢方診療科医長、山口大学総合診療部助手などを経て2006年、博多駅近くに「みらいクリニック」開業。日本東洋医学会認定漢方専門医 、認定NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長、日本加圧医療学会理事、息育指導士、日本靴医学会会員。

 健康雑誌や女性誌などに寄稿多数。全国紙、地方紙でも取り組みが紹介される。「ジョブチューン」(TBS系)、「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ニュースウオッチ9」(NHK)、「おはよう日本」(同)などテレビやラジオの出演多数。一般から専門家向けまで幅広く講演活動を行い、難しいことを分かりやすく伝える手法は定評がある。

 近著に「足腰が20歳若返る足指のばし」(かんき出版)、「はないきおばけとくちいきおばけ」(PHP研究所)、「ゆびのば姿勢学」(少年写真新聞社)、「なるほど呼吸学」(同)。そのほか、「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(マキノ出版)、「鼻呼吸なら薬はいらない」(新潮社)、「加圧トレーニングの理論と実践」(講談社)、「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」(コスモの本)など多数。

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