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Dr.若倉の目の癒やし相談室 若倉雅登

医療・健康・介護のコラム

治りにくい、治らない目の病気との付き合い方…「目と心の健康相談室」が無料の相談会と講演会を開催、人生の問題として考えてみませんか

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治りにくい、治らない目の病気との付き合い方…「目と心の健康相談室」が無料相談会と講演会を開催、人生の問題として考えてみませんか

 2015年(平成27年)、「心療眼科医・若倉雅登のひとりごと」の連載がスタートし、昨年「Dr.若倉の目の癒やし相談室」に受け継がれました。本コラムも残すところ今回と次回の2回となりました。

 スタートしたのは、私たちが「NPO法人 目と心の健康相談室」を設立した年でした。そこでの事例は、コラムで多く取り上げました。

 相談室が発足した経緯は、長く医療機関で診療してきた中で、患者と医療機関の距離感が意外に遠いと感じたからです。医師やコメディカル・スタッフ(医師の指示に基づくなどして活動する医療専門職)の数の割に患者数が多いことが一因で、患者は聞きたいことが十分聞けない、医師も時間に追われて説明がおざなりになりやすい、ということが常態化していました。そのせいで、しばしば医師と患者の関係が不良になる事案がみられました。

 特に、私が専門としてきた、神経眼科、心療眼科の領域では、患者とじっくり問答することで病気が把握され、適切な治療や対応を考えることが大事なのです。 

 特定の病名をつけにくい場合や、治療が確立していないものは私どもの領域にはとても多いのです。さらには、持っている症状や後遺症といかに付き合うかが、診療のメインテーマになるべき場合もあります。

 しかし、日本の医療体制は「3時間待ち、3分診療」がいまだに存在し、患者と医師がじっくり向き合って話し合えるほど、ゆとりを持って作られてはいません。

 その医療体制を利用する国民の病気や症状への考え方についても、もっと考察しておくべきだと思います。ジャーナリズムにしろ、ドラマや映画にしろ、医療をとかく成功物語風に取り上げます。病気やけがが治るストーリーの方が、悲劇で終わる物語より確かに視聴率は稼げるのでしょう。しかし、国民はいつの間にかそれを現実と思い、病医院に行けば治る、治せないのは医者が悪いと短絡しがちになります。

 私は初・中等教育の中に、人間の病気とは何か、病院はどう利用すべきものか(限界もあるのだということも含めて)、日本の健康保険とは、医療福祉とは、といったテーマを扱う「病気と日本の医療」とでも称する科目を入れてもらいたいと、かねがね思っていました。

 自分や家族が難治な病気になってから初めて考えるのでは、もはや冷静に考えられなくなるからです。

 難治なあるいは治療法がない病、治療しても進行が止められない場合や、元通りの機能が回復しない、また後遺症を抱えながら生きてゆかなければならないケースは、目や視覚の病気では決してまれではありません。加えて、誰にでも加齢問題は等しく加わってきます。このことは、医療という狭いジャンルを超えて人生の問題としても考えておくべき課題のはずです。

 私どものNPOでは、「難治な目の病気とどう向き合うか」というテーマで、9月25日(土曜)に無料の相談会と講演会を開催し、こうした視点で目の問題を考えたいと思います。会場とリモート参加のハイブリッドです。講演会は開催前日まで受け付けますので、ホームページ( https://metokokoro.jimdofree.com/ )をご覧ください。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年、東京生まれ。80年、北里大学大学院博士課程修了。北里大学助教授を経て、2002年、井上眼科病院院長。12年4月から同病院名誉院長。NPO法人目と心の健康相談室副理事長。神経眼科、心療眼科を専門として予約診療をしているほか、講演、著作、相談室や患者会などでのボランティア活動でも活躍中。主な著書に「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、「健康は眼にきけ」「絶望からはじまる患者力」「医者で苦労する人、しない人」(以上、春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社新書)など多数。明治期の女性医師を描いた「茅花つばな流しの診療所」「蓮花谷話譚れんげだにわたん」(以上、青志社)などの小説もある。

過去コラムはこちら

心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

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