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産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」

医療・健康・介護のコラム

妻に会社の話ができない男たち…話をするだけでストレスは軽くなる

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「仕事を家に持ち込みたくない」

 ストレスを自分だけでため込まず、妻に仕事や会社のことを話せば楽になるのです。しかし、それができない男性は多いようです。なぜでしょうか?

 多くのケースに聞きました。答えは「家に仕事のことを持ち込みたくない」、「家族に心配をかけたくない」が多く、次いで「家族、配偶者に話しても仕事だから分からないだろう」「前から言っていないので」「面倒だ」でした。

 産業医の私に言わせれば、これらの意見は「妥当でない思い込み」と判断しました。なぜなら「しんどい状態を家族に伝える」のは当然のこと。また「心配をかけたくない」とありますが、1人で対応するよりは配偶者に相談し、一緒に対処した方がうまく行くからです。

話すだけで半分、楽になる

 男性は配偶者に「仕事や会社のことを理解してもらうのは難しい」「専業主婦だから、分からないだろう」と考えがちです。これが良くない。「今、会社でつらい状況なんだ」、「上から求められることが多くていっぱいいっぱい」といった状況を知ってもらうのがポイントです。もう1点は「親しい人に話すだけで、楽になる人が多い」という理論を知らない人が多い。心理学や私の経験から言えば、話すだけで悩み事は半減します。なぜなら話す過程で、つらい感情を発散できるからです。

季節の話も会話の糸口に

 夫婦で散歩を始めて、10日目を過ぎるころから、散歩中に花や木々などから季節を感じることができるようになってきました。最初は「タンポポか、きれいだなぁ。あれは?」と妻に問いかけます。「もう桜が満開だ」、「ツツジが色とりどりで鮮やかだ」、「サツキが美しい」などと。今までは気にとめなかった自然の美しさに気づいたのです。

 妻も「あなた、あれがレンゲ草よ。みずみずしいわね。春ですね」。このようにして和代さんとの会話が増えたのです。自然、風景などは話題にしやすく、自然にふれると気持ちが和みます。そして散歩をすれば、汗ばみます。帰宅してシャワーを浴びる。ああ快汗!

妻に、やっと仕事のストレスを話せたよ‥…

 散歩時に何げなく、会社の苦しい実情や部下とのストレスを妻に話すことができました。妻はうなずきながら聞いてくれました。受け入れてくれました。彼は気分が楽になりました。ストレスも減っていくのです。

サポートでストレス軽減

妻に会社の話ができない男たち……‥…実は話をするだけでストレスは楽になる

 ストレス対処で難しいのは気づきから対処行動につながるかどうかです。図を見て下さい。事例では太郎さんに、多少なりとも気づきがあったのですが行動までには至りません。妻が「いつもと違う状態が続いている」夫に気づき、対処を考えてくれました。夫には趣味などはないから、簡易にできるものを考え、散歩を思いつき、「自分ではしないだろう」と考慮し、「私が誘い、2人でする」の行動に移した点です。夫婦の力はとても大きいのです。(夏目誠 精神科医) 

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夏目誠(なつめ・まこと)

 精神科医、大阪樟蔭女子大名誉教授。長年にわたって企業の産業医として従業員の健康相談や復職支援に取り組み、メンタルヘルスの向上に取り組んでいる。日本産業ストレス学会元理事長。著書に「中高年に効く! メンタル防衛術」「『診断書』を読み解く力をつけろ」「『スマイル仮面』症候群」など。新著は企業の人事や産業医向けの「職場不適応のサイン」ウェブ書籍「メンタル・キーワード療法~5分でできる簡易セラピー」。
夏目誠の公式ホームページ」「精神科医マコマコちゃんねる - YouTube

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