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脳卒中から16年、妻と二人三脚で入賞…馬術・宮路満英

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 二人三脚で2度目のパラリンピックに挑戦している夫婦がいる。馬術の宮路満英選手(63)(リファイン・エクインアカデミー)は、妻の裕美子さん(63)に支えられ、個人規定で7位入賞を果たした。30日午後には個人自由演技に出場する。

 

感謝の言葉胸に

 

脳卒中から16年、妻と二人三脚で入賞…馬術・宮路満英

馬術団体で、妻の裕美子さん(左)とともに出場した宮路満英選手(28日、馬事公苑で)

 日本中央競馬会の調教助手として競走馬の世話を担当していた2005年夏、滋賀県の 厩舎きゅうしゃ で倒れた。脳卒中だった。1か月後、目を覚ました時の一言は妻を驚かせた。「あんた誰や」

 30年近く一緒にいた妻のことは間もなく思い出したが、物事をすぐに忘れてしまうようになり、言葉も思うように出ない。右半身には、まひが残った。

 リハビリで小さな馬の手綱を引いて散歩を始め、倒れて2年ほどたつと乗馬にも挑戦した。「また乗れるんだ」。再び馬の背で揺られた感動で、下りた後、物陰に隠れて一人で泣いた。

 「馬術をやりたい」と妻に打ち明けたのは、08年にホノルルマラソンに出場した後。13時間歩いて完走したことが自信になった。落馬を心配し、猛反対されたが、「言い出したら聞かへんから」と最後は許してくれた。

 裕美子さんも馬術を学び、忘れやすい夫のために紙に経路図を書いたり、一緒に歩いて説明したりした。教えて、忘れて、また教えての繰り返しだった。

 大会では、演技の順番を夫に教えるコマンダー(指示役)を務める。馬場に入ってくる夫の表情が「怪しい」と感じたら、早めに声をかける。夫婦だからこそ、分かることがある。

 26日の個人規定では、不自由な右手を胴体に固定するテープが外れたり、裕美子さんが指示を間違えたりとアクシデントもあった。互いにカバーし合い、前回大会の11位から順位を上げた。

 結婚40年目に2人で挑んだ大舞台。裕美子さんは「夫婦で出させてもらえてありがたい」と感慨深げに語る。

 宮路選手は「馬に乗ってきて良かった」。妻への感謝の言葉は、競技をすべて終えてから伝えるつもりだ。(沢井友宏)

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