介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
病気や体調不良で介護ができない どうすれば?…在宅高齢者が一時的に宿泊<ショートステイ>
ふだん自宅で暮らしている高齢者が、一時的に施設に宿泊するのが「ショートステイ(短期入所生活介護)」です。同居して介護を担っている家族が留守にする場合や、リフレッシュが必要な時などに頼りになる介護サービスです。
母親(95)が暮らす家まで自転車で40分かけて通い、掃除や洗濯、食事作りなどをしてきた東京都北区の二上祐子さん(68)は2019年2月、荒川区の「ソラスト・ショートステイ町屋」の利用を始めました。母親に認知症の症状があり、エアコンなどの電化製品がうまく使えなくなるなど日常生活への心配が大きくなったのがきっかけでした。
母親が夜中に一人で出歩いて、帰れなくなってしまうのではないかと不安に感じていた二上さんでしたが、「ショートステイでお世話になっている間は安心できます。テニスなど趣味の時間で気分転換もできています」と話します。現在はショートステイを利用しながら、特別養護老人ホームへの入所待ちをしているそうです。
在宅介護では、訪問介護やデイサービスなどを利用していても、夜間や休日などは家族が介護を担うケースも多いようです。でも、出張や旅行、遠方の結婚式、葬儀への参列などで、一時的に介護ができなくなることはあります。新型コロナウイルスへの感染など病気で介護を続けられなくなるリスクも考えておく必要がありそうです。そして、介護を担う家族にも時々、リフレッシュが必要です。
生活相談員などの専門職が生活状況を見ることで、利用者本人にとっても身体機能や認知機能の維持につながるメリットがあります。食事や入浴など日常生活の支援はもちろん、体操などのレクリエーションを通じて機能訓練もできます。同施設を利用する女性(92)は「他の入所者の方たちとのふれあいもあり、楽しく過ごせます」と笑顔です。
施設にはショートステイに特化している「単独型」と、特別養護老人ホームなどとの「併設型」があります。部屋の種類は、多床室や、従来型個室、リビングなどの共用スペースが設けられたユニット型個室などがあります。
料金は施設の種類や要介護度などで変わります。ソラスト・ショートステイ町屋では要介護3で1割負担の人の場合、食費や滞在費を含めて、1日あたり4000~5000円程度になるそうです。
利用を希望する場合は、ケアプラン作りを担当しているケアマネジャーを通じて施設に申し込むのが一般的です。1週間以上など長期(連続利用は最長30日まで)で利用したい場合は、早めの予約を心がけたいところです。
ただ、急な用事ができることもあります。同施設管理者の深尾駿さん(31)は「緊急の場合も、部屋に空きがあれば入れます」と話しています。当日の連絡でも利用できる可能性もあるそうです。
深尾さんは「家族がリフレッシュできるように、定期的に利用している人もいます。行き当たりばったりではなく、しっかり計画を立てて利用するのがポイントです」とアドバイスしています。(小野健太郎)
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