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第26回口腔保健シンポジウム

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【第26回口腔保健シンポジウム】(1)回復可能、しっかり噛む

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 「コロナ時代、健康管理の鍵は<オーラルフレイルの予防>」をテーマにした「 第26回 口腔(こうくう) 保健シンポジウム」が今月4日、インターネット上で配信され、820人が参加した。1994年に東京で開かれた「世界口腔保健学術大会」を記念して始まった恒例企画。元マラソン選手の有森裕子さんを交えたパネルディスカッションが行われ、新型コロナウイルスの感染拡大が、() む、話すといった口腔機能にも悪影響を与えていることなどを専門家が解説した。

パネリスト(敬称略)
飯島勝矢  東京大学高齢社会総合研究機構 教授・機構長
平野浩彦  東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長
有森裕子  元マラソン選手
加藤尊巳  神奈川県歯科医師会常任理事
野田めぐみ 歯科衛生士
本間雅江  読売新聞東京本社医療部長(コーディネーター)

主催 日本歯科医師会
後援 厚生労働省、8020推進財団、日本歯科医学会、読売新聞社ほか
協賛 サンスター株式会社

飯島 勝矢氏

【第26回口腔保健シンポジウム】(1)回復可能、しっかり噛む

 フレイルは「虚弱」という意味で、健康と要介護の中間にあたる、心身が衰えた状態のことです。新型コロナのために、特に高齢者は自粛生活を余儀なくされています。それが長期化するにつれ、フレイルが進んでいることが、様々なデータでわかってきました。

 コロナ禍で外出が減り、人との接触がなくなり、食生活も乱れると、足腰だけでなく体幹部分の筋肉量もかなり減ってしまう。握力が弱く、ふくらはぎも細くなり、話さないためか、滑舌も落ちてくる。我々はこれを「コロナフレイル」と呼んでいます。

 フレイルには、足腰や筋肉が弱る身体的な衰えのほか、認知機能などに陰りが出る心理的な衰え、そして、社会的なフレイルがあります。引きこもり、経済的な困窮、孤立などです。こうした多面的な要素が絡み合いながら自立度が落ちていきます。コロナは、社会や人とのつながりの低下を招いたと考えています。

 フレイルのもう一つの特徴は「可逆性」です。何もしなければ、要介護へと「老いの坂道」を転がり落ちるけれども、頑張れば健康な状態に戻る可能性がある時期です。生活を少し見直すだけで、将来は変わってきます。

 人生100年時代と言いますが、健康長寿を実現するには、栄養管理が一丁目一番地。何を食べるかも重要ですが、どのくらいしっかり噛んで食べられるかという、口腔機能は避けて通れません。コロナによる自粛期間を逆に充電期間と考え、フレイルの予防、まずは口腔機能の衰えである「オーラルフレイル」の予防にみんなで取り組んでもらいたいと思います。

いいじま・かつや 1990年、東京慈恵会医科大学卒業。米スタンフォード大研究員、東大高齢社会総合研究機構教授を経て、2020年に同機構長。フレイル予防の第一人者。

 参考になるウェブサイト
・日本歯科医師会「口腔体操でオーラルフレイル予防」(日歯8020テレビ)
https://www.jda.or.jp/tv/97.html
・サンスター オーラルフレイル情報サイト
https://jp.sunstar.com/oral-frail/

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