楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
「人生100年時代」と言われるようになりました。この長い後半生、「今まで通り」のやり方では乗り切れないかもしれません。やがて来る「シニアライフ」を実りあるものにするためには、今、どんな備えをしておけばいいのか? お金のこと、そしてお金以外のこと……マネーライターの楢戸ひかるさんと一緒に考えていきましょう。
介護・シニア
夫50歳の誕生日にはお金の話をしよう…ねんきん定期便から見える老後の家計
「お金の使い方のくせ」をあぶり出す
ここで忘れてならないのは、「イレギュラーな出費」です。私は3万円を超える金額は、「毎月の生活コスト」とは別に一覧表にしています。
わかりやすい例でいえば、帰省費用、親戚に渡すお年玉、年越し費用、週末や連休を使ったプチ旅行の費用、ちょっと高額なコートやバッグ、ペットの入院費用などです。
また、私がライフサイクルコストと呼んでいる、冷蔵庫や洗濯機といった家電品の買い替え、給湯器やコンロなど住居設備の取り換え、車の買い替え、一軒家の外壁塗装なども含みます。ライフサイクルコストや大型旅行などは、ライフプランニングシートで整理してみるとわかりやすいでしょう。
これらの費用は貯蓄を切り崩して充当することも多いので、金額の目安を把握できると、老後資金設計の一助になると考えます。ライフプランニングシートは、年1回程度のペースで、アップデートをしていった方がいいでしょう。
また、ここで「毎年、必ず3万円を超えるコートやバッグを新調している」といった「お金の使い方のくせ」をあぶり出すことができれば、「年金生活になった時、それは必要なのか? それを買い続ける生活を続けられるのか?」といったことを自問自答するきっかけになります。年金生活になってから、生活コストをガクンと落とすと、寂しい気持ちになるかもしれませんから、50歳になったあたりから、緩やかな移行を考え始めるとよいと思います。
「わが家のデータ」ファイルに蓄積
私は、数年前からファイルを一つ作り、「毎月の生活コストの一覧」「イレギュラーな出費の一覧」、そして毎年1回アップデートしている「ライフプランニングシート」を保存することにしました。これは、いわば「わが家のデータ」です。
これだけ生き方が多様化した今、「老後資金は、〇〇円必要」といった一般論は、あまり意味がないと感じます。それよりも、実生活をもとに蓄積した「わが家のデータ」の方が、自分のシニアライフを考える上では、確かな道しるべになるのではないでしょうか?(楢戸ひかる マネーライター)
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