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新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

シャルコー・マリー・トゥース病 末梢神経の異常で手足の筋力や感覚が徐々に低下する難病

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患者の気持ちがわかる作業療法士として

シャルコー・マリー・トゥース病 手足の筋力や感覚が徐々に低下、変形の痛みを生じる神経の難病

学生時代の実習中の一コマ

 山田さんは高校卒業後、作業療法士の資格を取れる専門学校へ進んだ。

 子どもの頃からリハビリテーションを受け、理学療法士が体を楽にしてくれることを体験しており、担当の理学療法士を尊敬していた。中学生の頃には、すでに理学療法士になることは決めていた。

 しかし、進路を決める際、その理学療法士から、山田さんには理学療法士よりも作業療法士の方が向いているというアドバイスをもらい、志望を変更した。

 将来的に病気が進行することや、人と接する能力にたけている性格などを見抜いて、的確な助言をしてくれたと感謝しているという。

 自分の病気や障害の体験を生かせる人間になるという考え方を、この理学療法士から教えてもらった。20年以上過ぎた今でも当時のことを覚えていると、振り返って話してくれた。

19歳で病名が判明 「人生のすべてを否定された」

 作業療法士を目指すべく専門学校で学びを得ていたある日。筋肉の動きを見る筋電計を扱う実習で、他の人と足の動きが違う彼は、自分が被験者となって測定してみた。

 すると、その測定データを見た教員が何げなく言った。

 「これは、シャルコー・マリー・トゥース病だね」

 それまで、病院では先天性の病気とだけ説明されてきたが、ようやくはっきりとした病名がつけられた。

 遺伝性で、治療法がなく、進行性の病気――。衝撃を受けた。

 私の経験では、長年分からなかった病名が、ようやく確定すると、安心感を得るとともに次のステップへ気持ちを切り替えるなど、前向きに捉える方が多い。

 だが、彼の場合は違ったようだ。

 想像するに、彼は病名が分かるまでの19年間で、「自分」をきちんと作り上げていたのだと思う。

 子どもの頃から手術を繰り返し、病気はもう落ち着いていると思っていたのだろう。だからこそ、仕事にも病気を生かしたいという発想ができていたのではないだろうか。

 だから、病名が分かったことは、衝撃でしかなかった。

 「これまでの人生のすべてを否定された感じがしました」

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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