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首相、ロックダウンは「決め手にならない」…専門家は私権制限にも前のめり

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首相、ロックダウンは「決め手にならない」…専門家は私権制限にも前のめり

衆院内閣委の閉会中審査で答弁する分科会の尾身会長。右は西村経済再生相(18日)

 新型コロナウイルスの感染抑制策を巡り、強制的な行動制限を伴う法整備に慎重な政府と、前向きな専門家や野党の温度差が表面化している。菅首相は、外出や移動を制限する「ロックダウン」(都市封鎖)について、私権制限を伴うことに加え、感染の完全な封じ込めは不可能として消極的だ。

 田村厚生労働相は18日、同省の助言機関の会合で、「外出の制限をする法律は、国民の理解をいただかないと難しい」と述べ、行動制限の法制化に慎重な考えを示した。菅首相も17日の記者会見で、強制的に人流を抑える対策は「感染対策の決め手とはならず、各国ともワクチン接種を進めることで日常を取り戻している」と指摘した。

 改正新型インフルエンザ対策特別措置法は、飲食店など事業者を対象にした休業命令や過料などを規定するが、個人の行動への制約はない。政府内では、「ロックダウン」には慎重な意見が大勢だ。

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 一方、専門家は私権制限に前のめりだ。政府の基本的対処方針分科会の尾身茂会長は17日の記者会見で、「個人に感染リスクの高い行動を避けてもらうことを可能にするような法的仕組みも必要だ」と述べた。コロナ禍が長引き、政府の行動自粛要請に協力が得られにくくなっている事情も背景にある。

 全国知事会も13日の緊急声明で「ロックダウン的手法」を検討するよう求めた。国民民主党の玉木代表は17日の衆院議院運営委員会で、「特措法を改正し、個人への外出禁止命令を十分な経済的補償とセットで導入すべきだ」と主張した。

 欧米では、ロックダウンは一般的だ。仏政府は昨年3月、全土で外出制限を実施し、違反者には最大135ユーロ(約1万7000円)の罰金を科した。英政府も同月、全土で不要不急の外出を禁じ、飲食店なども閉鎖した。ただ、人出は徐々に増加し、感染の封じ込めには至らなかった。

 東大の金井利之教授(行政学)は「ロックダウンは生活に大打撃を与え、国民の窮乏を招く。行政が住民の生活保障を全面的に確保することが不可欠だが、日本にはその基盤や能力がなく、不可能だ」と指摘する。

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