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冷食や総菜を活用…高齢者は「脱力調理」で栄養しっかり 筋力低下防ぐ

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脱力調理で栄養しっかり…「簡単な食事」だけでは筋力低下リスクも

北海道・名寄市立大学の中村育子准教授

 食事はフレイル予防の柱の一つ。ただ、高齢になって体力が衰えると、買い物に行ったり、調理をしたりする負担が重くなり、毎日の食事がおろそかになりがちだ。北海道・名寄市立大学の中村育子准教授(臨床栄養)に、自宅で続けやすい料理のコツを聞いた。(沼尻知子)

ハードル下げる

 管理栄養士の資格を持つ中村さんは、20年以上、高齢者らの自宅を訪問して、食事に関する相談に応じる「在宅訪問管理栄養士」として活動してきた。いっしょに台所に立つこともあり、日常生活に無理なく取り入れられる献立を提案している。

 老々介護や男性介護者の増加もあり、家での調理に苦労する高齢者の姿を多く目にしてきた。そこで昨年、「70歳からのらくらく家ごはん」(女子栄養大学出版部)を出版。調理の負担を減らしながらも、しっかり栄養がとれる献立を紹介している。

 中村さんは「高齢期には『ご飯と漬けもの』など、単調な食事で済ませてしまい、栄養価が不足するケースが少なくない」と指摘する。台所に立つのが体力的にきつくなるだけでなく、伴侶を亡くして一人暮らしになり、料理のやりがいを失ってしまうケースもあるという。

脱力調理で栄養しっかり…「簡単な食事」だけでは筋力低下リスクも

 さらにコロナ禍では、感染防止のために外出を控え、買い物に行きにくくなるといった影響も出た。「自宅に籠もりがちになると食欲も減り、低栄養のリスクが高まる」と警鐘を鳴らす。

 栄養が不十分な状態が続くと、筋力が低下し、転倒などのリスクが高まる。肉や魚、大豆製品でたんぱく質をしっかり取り、カルシウムやビタミンの摂取も心がけたい。

 とはいえ、「加齢とともに調理がおっくうになるのは自然なこと」と中村さん。「無理なく栄養を取るには、調理のハードルを下げることが大切」と話す。

冷凍食品など活用

脱力調理で栄養しっかり…「簡単な食事」だけでは筋力低下リスクも

 中村さんのおすすめは、市販の冷凍食品や加工品、総菜を活用することだ。

 例えば、市販の「冷凍ギョーザ」と「冷凍ほうれん草」を入れたスープを作れば、ギョーザでたんぱく質、冷凍ほうれん草でカルシウムと、両方の栄養素が摂取できる。

 つぶした豆腐と練りごま、マヨネーズに、総菜として買ったひじきの煮物を加えれば、食物繊維やカルシウムとともにエネルギーも摂取できる。たんぱく質を取れるサラダチキンは、コンビニなどでも購入でき、「もう一品」のおかずにおすすめだという。

 また、調理のちょっとした工夫で食が進みやすくなる。食材を小さく切ったり、長めに煮たりすると、かむ力が弱くなった人でも食べやすい。高齢になると唾液が少なくなるため、豆腐やなめたけといったのみ込みを助ける食品を取り入れるのも効果的だ。

 中村さんは「低栄養状態が続くと、日常生活にも支障が出てくる。『友人と会う』『散歩に出かける』など、希望する生活を続けるためにも、日々の食事に気を配ってほしい」と呼びかけている。

食の悩みに「栄養ケア・ステ」…管理栄養士ら有料相談

脱力調理で栄養しっかり…「簡単な食事」だけでは筋力低下リスクも

栄養ケア・ステーションに併設する食堂。子ども連れやお年寄りらでにぎわっている(東京都大田区で)

 「食が細い母に栄養を取ってほしい」「糖尿病だが、満足感が得られる献立はないか」――。食事にまつわる悩みを相談できるようにしようと、日本栄養士会などが展開しているのが「栄養ケア・ステーション」だ。

 管理栄養士らが有料で栄養相談に応じる仕組みで、2008年にスタート。18年からは認定を受けた企業なども設置できるようになった。現在、全国約350か所にあり、調剤薬局やコンビニといった身近な場所にも窓口が設けられている。

 東京都大田区の「せわのわ」は、薬局や訪問看護拠点が一体となっており、健康食堂にステーションが併設されている。相談は1回3300円で予約が必要だが、食堂は誰でも利用でき、管理栄養士が定食などを提供している。

 近くに住む浅沼文恵さん(74)は、3年前に夫が他界。一人暮らしになってから食事の支度がおっくうになり、昼食がおにぎりだけの日もあったという。浅沼さんは「身近な場所で栄養バランスが取れた食事ができると安心する」と笑顔で話す。

 日本調剤は全国13店舗が認定されている。相談は30~60分で4000円。生活習慣や疾病など、相談者に合わせた献立のアドバイスを受けられる。

 ローソン千駄木不忍通店(東京都文京区)にあるのは、医療法人が運営するステーション。週2回、簡単な栄養相談なら110円、詳しい相談は2200円で受け付けている。

 日本栄養士会の担当者は「コロナ禍で栄養不足の人も増えている。健康のために、毎日の食事の重要性を呼びかけていきたい」と話している。

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