産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
人間同士の物理的な距離は、心理的な距離と比例……コロナで職場の人間関係が変わる!
オンライン会議はセレモニーに
企画課長: 会議で案を出して、良い案なら、さらに突っ込んでいく。そのやり取りで相互理解が深まる。ところがオンライン会議では、建前でしか話せない感じがするんですよ。会議では、反応を見ながら話をしますが、オンラインだとそれが分かりにくいですね。
営業係長: だからセレモニーになってしまう。
企画課長: なぜなら、突っ込んだ話ができないから。
営業係長: やらないよりはまし。その程度の効果かな。
女子社員: ロッカーや休憩室でのおしゃべりもやはり、自粛していますから、「ここだけの話」みたいなのが減りましたね。盛り上がらないかな……。
新規開拓はゼロ更新
企画課長: 顧客の新規開拓ができません。コロナ騒動でズーッと数字はゼロ。ゼロ更新です。これから、どうなるんだって不安がたかまるばかりで。
産業医 : 電話はどうですか?
企画課長: 先生、電話って相手の顔や表情が見えません。反応がわからない。
営業係長: 最初のころは、電話で話をしようと努力しましたが、新規開拓はできない。やめました。
女子社員: 社内ではディスタンスがあるから、スマホでのやり取りが増えていると思います。
ワイワイガヤガヤできない
企画課長: 先生、居酒屋で食べ、酒をくみ交わし、だんだんワイワイガヤガヤになって、その過程で チーム一体のムードが醸し出されます。お互いの距離もぐっと近くなる感じがするんですけどね。
産業医 : そうか。
営業係長: このような過程を経て同僚が仲間に、そして営業チームの一員になるんです。
企画課長: 今は、それが全くできない。仲間になることで、やる気ムードが出たんですが……。
産業医 : 悩みは深いね。
女子社員: 女子会もやりにくいですね。言いたいことを言える雰囲気が良かったんですけど。
落ち込んでいる部下のケアは居酒屋で
企画課長: みんなで盛り上がるだけではなくて、落ちこんでいる部下へのフォローも大事ですよ。居酒屋が使えるんですよ。「君がこの仕事で、努力したのはわかっているよ」「頑張ったけど、数字にならないことは、誰にでもある経験だ。プロセスができているから、次回に生かせるよ」「飲んで、飲んで、今日はパッと 憂 さを晴らそう! オレも付き合うから」……そんなふうにして部下をケアしてきましたね。
営業係長: そう、そう。フォローは人を育てる上で重要。それもできないんだ!
産業医 : なるほどね。ノミ(飲み)ニケーションって様々な役割を担っているんだねえ。
企画課長、営業係長: 理解していただき、うれしいです。
女子社員: 女性の場合は、仕事のフォローもありますが、恋がうまく行っていない友人の話を聞くことも多いです。
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