ペットと暮らせる特養から 若山三千彦
医療・健康・介護のコラム
入居者に勇気を与えてくれる猫たち…障害を持つカッチャンとタイガ、生きる力の象徴に
2匹から元気もらい再びリハビリを始めた入居者も
そして、障害のことも、ちっとも気にしていません。カッチャンもタイガも、元気に走り回っています。棚の上まで、ひょいっとジャンプします。高いキャットタワーの上にだって駆け上ります。他の猫たちとじゃれあい、追いかけっこをしています。普通に歩いている姿を見れば、一目で障害がわかるのですが、飛んだり跳ねたりしている姿からは、とても障害があるなんて想像もつきません。
そんな2匹の元気な様子を見て、入居者は皆、励まされています。生きる力をもらっています。
脳 梗塞 の後遺症で半身まひがある入居者は、生きる気力を失い、リハビリもやめてしまっていたのですが、カッチャンとタイガの姿を見て、自分も頑張らなければいけないと思い、再びリハビリを始めました。
車いす生活になって、すっかり元気を失っていた入居者は、カッチャンとタイガから元気をもらい、見違えるように生き生きとしました。
「子どもたちが会いに来てくれないから寂しい」と毎日のように訴えていた入居者は、「あの子たちのけなげな様子を見ているうちに寂しくなくなってきた」と言うようになりました。
このような入居者は大勢います。たくさんの入居者が、カッチャンとタイガから元気をもらっているのです。と言っても2匹は何も特別なことはしていません。アニマルセラピーをしているわけでもありません。アニマルセラピーは、専門の訓練を受けたペットが、病人や高齢者、障害を持つ方などに寄り添って癒やす活動です。カッチャンとタイガは、もちろんそんな訓練を受けていません。そもそも、入居者を癒やそうなんていう気持ちは皆無です。ただ単に普通に元気に過ごしているだけです。でも、障害を持っていても、全く気にせず、普通に元気に過ごす姿こそが、入居者に勇気と希望を与えてくれるのです。
カッチャンとタイガは、「さくらの里山科」で生きる力の象徴になっているのです。
(若山三千彦 特別養護老人ホーム「さくらの里山科」施設長)
2 / 2
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。