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入院先なくコロナ容体急変、訪問看護で急きょ酸素投与…病床逼迫の首都圏

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い病床が 逼迫ひっぱく する首都圏で、感染者の自宅療養が急増している。呼吸困難に陥っても入院先が決まらず、看護師らが急きょ自宅を訪問し、酸素投与を始めるケースも出ている。急変する自宅療養者への対応に苦闘する訪問看護の現場を取材した。(医療部 影本菜穂子)

入院先なくコロナ容体急変、訪問看護で急きょ酸素投与…病床逼迫の首都圏

患者宅前で、感染防護服を着込み、酸素吸入の装置を運び入れる看護師ら

 8月初めの週末の夜、東京都世田谷区内の30歳代の男性患者宅に向かう車中で、スタッフの携帯電話が鳴った。「患者さんがトイレから戻る途中に倒れて動けなくなった」。直前にオンラインで診察したクリニックからの連絡だった。

 患者宅まで数キロの地点で渋滞に巻き込まれていた。「急がないと!」。看護師が車を降りて走り出した。

 「自宅で急速に悪化する患者も多い。コロナの訪問看護は、緊張の連続です」。世田谷区など首都圏の5自治体の委託を受け、自宅療養者の健康相談や訪問看護に当たる「ソフィアメディ」(品川区)の中川征士・官民連携室長は語る。

 患者宅に到着したスタッフ2人は玄関前で、半透明の感染防護服を急いで着込むと、用意した酸素吸入の装置を室内に運び込んだ。

 男性患者は7月末から自宅療養中だった。この日計測した血中の酸素飽和度は91~92%。正常値(96%以上)を大幅に下回っていたため、医師にオンラインで診察を受け、「酸素吸入が必要」と判断された。入院先が見つからず、同社の看護師らが出動した。

 部屋に入ると、男性患者は床に倒れていた。毎分30回の浅く速い呼吸で、話せないほど衰弱していた。鼻にチューブをつけて酸素吸入を始めると、15分で酸素飽和度が95%に上昇。座れる状態になり、表情が幾分和らいだ。スタッフは本人と家族に装置の使い方を説明し、約30分で退室。深夜も3時間おきに確認した。男性は翌日入院できた。

 通常の訪問看護は慢性疾患や要介護の高齢者など状態が比較的安定した人が対象で、感染対策に慣れていないスタッフもいる。国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「往診や訪問看護は今できる数少ない支援策の一つだが、本来は急変する恐れのあるコロナ患者には適さない。急ごしらえでも野戦病院のような療養施設を設け、そこに患者と医療従事者を集め、急変にも対応できる体制を作るべきだ」と指摘する。

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