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なかさとみ「吉本芸人 卵子提供で2人のママに」

医療・健康・介護のコラム

卵子提供を望む全ての人に公的な専門家のカウンセリングを

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 みなさん、こんにちは。なかさとみです。世の中の人々に少しでも卵子提供について知っていただくために、コラムでは色々と詳しく書いていこうと思っています。今回は「卵子提供の規制」について書いてみたいと思います。

日産婦が卵子提供などの制度整備について提案

卵子提供を望む全ての人に公的な専門家のカウンセリングを

 6月に日本産科婦人科学会が「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する提案書」を公表しました。しかし、こちらの提案書は「加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない」というもので、疑問や課題の残る内容でした。

 日本の卵子提供はあまりに長い間、放置され過ぎてしまい、その間に「卵子提供を受けたい様々な状況の人」が増えており、「制度」が全く追いついていないことを強く感じています。

 私はこの2年半で、一人もお子さんのいないご夫婦からの相談のみならず、「実子がいて、2人目あるいは3人目を卵子提供で産みたい」「上の子と下の子でドナーが違う」「50代だけれど妊娠したい」など、色々な相談を受けました。制度ができあがらない状況の中で、このように個々の事情を抱える人が海外で卵子提供を受けているのが現状です。

 しかし、海外での卵子提供は非常にハードルが高く、実際には卵子提供を受けたいと思っても、高額な費用や渡航、心理的ハードル、身内の理解など乗り越えることも多く、あきらめるしかない人もたくさんいらっしゃいました。

「なんでもあり」な出産で子供の幸せを保障できるか

 そのことを思うと私もつらい気持ちになるのですが、それと同時に子供が欲しい親側の希望による「なんでもあり」な出産が、果たして生まれてくる子供の「福祉や権利や幸せ」をどこまで保障できるのか? こちらについて疑問も感じてしまうのです。

 どこまでが「あり」で、どこまでが「なし」なのか、こちらの線引きも非常に難しいのですが、この問題を考える時、お子さんが欲しい人の気持ちと、産まれてくる子供の気持ち、双方に思いをはせながら、いまだに私のなかで「平等な規制とは何だろう?」と答えを見つけることができずにいます。本当に難しい問題だと思います。そちらを踏まえて私なりの考えを書いてみたいと思います。

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なか さとみ

 1971年生まれ。吉本興業所属芸人。2015年より不妊治療をしたが妊娠に至らず。卵子提供で2人の子どもを出産。19年1月10日、日本で初となる当事者による卵子提供自助グループ「アン・ネフェ」を発足。自身の経験をもとに発足以来、延べ200人以上の相談を受けている。

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