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発症7日以内の入院・投与カギ、「抗体カクテル療法」大阪でも開始

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 新型コロナウイルスの軽症・中等症向けに「 抗体カクテル療法 」と呼ばれる新たな治療法が大阪府内でも始まった。重症化を防ぐ効果が期待される。現状は入院患者のみが対象で、発症から原則7日以内に投与する必要があり、医療現場からは「早めの投与が効果的」との声が上がる。病床が 逼迫ひっぱく して入院に時間がかかるようになれば、治療の機会を逃すケースが出る恐れがある。(佐々木栄)

 抗体カクテル療法は、厚生労働省が7月に特例承認し、50歳以上や糖尿病、慢性腎臓病、慢性肺疾患などの持病がある人、喫煙者など重症化リスクが高い患者が対象となっている。

発症7日以内の入院・投与カギ、「抗体カクテル療法」大阪でも開始

 薬は当面、供給量に限りがあるため、国が中外製薬から買い上げ、医療機関に配分している。国は20万回分を確保したという。大阪府の吉村洋文知事は9日、西村経済再生相らとのテレビ会議で、「緊急事態宣言が出ている地域に戦略的に配分するよう国にお願いしたい」と要望した。

 新型コロナ専門病院として中等症患者を受け入れる大阪市立 十三じゅうそう 市民病院では、7月29日から抗体カクテル療法を始めた。

 10日午前までに20~80歳代の19人に投与。このうち3日までに治療を受けた5人では、発症から3~4日目までに投与された3人は熱が下がり、 倦怠けんたい 感などの全身症状も改善した。うち2人は入院から10日以内で退院した。これに対し、投与が発症から6日目と7日目だった2人は熱が下がらず、現在も入院中という。

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「抗体カクテル療法」で使う点滴薬を調剤する薬剤師(左)(大阪市立十三市民病院で)=同病院提供、画像は一部修整しています

 西口幸雄病院長は「早く投与した方がよく効く印象だ。解熱剤とは違って、熱はいったん下がれば再上昇しておらず、早期退院につながることが期待できる」と語る。

 薬は患者ごとに利用申請すると、配送される仕組みだ。基本的には平日は午後3時頃までに登録すれば翌朝には届くが、土日祝日は配送されず、金曜日に登録した場合は治療が2日ほど遅れる点がネックという。西口病院長は「国には薬を必要なときにすぐ使える仕組みを作ってほしい」と訴える。

 りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)などでも投与が始まり、入院患者への治療は進む。

 一方で、政府が感染者の急増地域での療養方針を見直し、軽症者は原則として自宅療養となった。抗体カクテル療法は入院患者に限られているため、現状では対象にならない。首都圏を中心に爆発的な感染拡大で急増している自宅や宿泊施設にいる患者に投与する体制をどう整えるかが課題となっている。

 地域医療を担う日本プライマリ・ケア連合学会の大橋博樹副理事長は「重症化リスクが高い人に薬を速やかに使えるよう、往診や外来、宿泊療養施設でも投与できる体制をつくるべきだ」と指摘している。

抗体カクテル療法  ウイルス表面のたんぱく質にくっついて増殖を抑える二つの中和抗体「カシリビマブ」と「イムデビマブ」を組み合わせ、生理食塩水で薄めて1回点滴する。投与は30分程度。軽症・中等症の外来患者に実施した海外の臨床試験では、入院や死亡のリスクを7割減らす効果が示された。

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