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財務省は徹底的に弱体化、「官邸1強」に…古川貞二郎・元官房副長官[語る]霞が関

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 新型コロナウイルス禍で、霞が関の官僚は昼夜を問わず対応に追われているが、組織の目詰まりや士気の低下、不祥事など弊害も目立っている。2001年の中央省庁再編から20年が経過した。霞が関はどう変わったのか。今後の課題とあるべき姿を識者に語ってもらった。

財務省は徹底的に弱体化、「官邸1強」に…古川貞二郎・元官房副長官[語る]霞が関

1960年、厚生省(現厚生労働省)入省。厚生事務次官を経て、95年に官房副長官に就任。8年7か月にわたって、村山、橋本、小渕、森、小泉の各内閣を支えた。佐賀県出身。86歳。

 橋本首相(当時)が主導した「橋本行革」の一環として、1998年6月、中央省庁改革推進本部が発足した。その際の訓示で、私は官房副長官として、改革が骨抜きにならないよう「出身官庁の方を向いて仕事する人は即刻帰ってもらう」と、くぎを刺したことを今も覚えている。

 省庁を再編することになったのは、行政を取り巻く環境が大きく変化したからだ。戦後の高度経済成長期は果実を適正に配分することが霞が関の大きな仕事で、政治も国民も細かいことに口を出さないおおらかな時代だった。しかし、冷戦が終結し、バブル経済が崩壊する中で、霞が関は変化に対応しきれず、政治が前面に出ることになった。

 社会が複雑多様化する中で、縦割りを排し、スピード感を持って一体的に対応する必要があった。内閣の機能を強化し、首相のリーダーシップを強める改革は当然の成り行きだった。

 あれから20年、政治主導の面では改革の効果が出ているが、運用を含めて考えると問題点もある。

 第2次以降の安倍内閣は、内閣人事局が創設されたことで、首相官邸が財務省はじめ各省庁の人事権を握り、個別の予算編成まで左右したように見える。財務省が徹底的に弱体化され、「官邸1強」となったのが特徴と言えるのではないか。

 現在の菅内閣で問題なのは、コロナ禍の危機下で、官邸の要である官房長官が中心にいないように見受けられることだ。危機管理は、指揮命令系統と責任体制が明確であることが要諦だ。ワクチン担当は河野行政・規制改革相、コロナ対応は西村経済再生相と田村厚生労働相と、船頭が多すぎるように見える。情報発信のちぐはぐさも目立つ。

 橋本行革で想定していたのは官邸が司令塔になって内閣を主導するが、各省庁もそれぞれ、副大臣や政務官を置き、官僚が補佐しながら政治主導を進めることだった。「官邸1強」とは理念が少し違う。官邸主導は当然だが、各省庁の力も発揮させる形にしないと、全体として十分な働きができない。

 橋本行革では、省庁の数を半減するという構想で、数が先にあり、事務量についての十分な議論はしていなかった。

 旧厚生省と旧労働省を厚生労働省に統合したのは時代の変化に対応したからだ。例えば高齢者問題は、年金や医療、介護だけでなく、働き方の問題と一緒になって考える必要が出てきた。その理念は正しかったが、その後、爆発的に事務量が増えた。定員は事務量に全く見合っていない。

 コロナ対応では、厚労省は病床確保やワクチンの確保など、感染症に対する構えの薄さをつかれた。これまでは水際対策もうまくいっており、保健所などの体制を減らしてきたところに、コロナの感染が拡大したことで、対応が右往左往している。そうなるとすぐあり方論や分割論が出てくるが、まずは人員を含めた体制を整える必要がある。

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