介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
歩行器や入浴用リフトを使いたい…介護保険で利用 基本はレンタル<福祉用具>
訪問介護やデイサービスだけが、自宅で暮らす高齢者を支える介護保険サービスではありません。車いすや電動ベッドなどの「福祉用具」を利用する、という方法もあります。介護が必要な高齢者のおよそ3人に1人(約239万人)が利用しています。
福祉用具は大きく13種類。歩行器など介護の必要度が比較的低い「要支援1~2」の人から使えるものもある一方で、入浴に使うリフトや 徘徊 感知機器など「要介護2」以上が対象の場合もあります。
介護保険で利用するには、ケアマネジャー(介護支援専門員)が作る計画書に盛り込んでもらう必要があります。
東京都港区でケアマネ事業所を経営する大石真由美さん(55)は「本人の自立を手助けするという視点が大切です」と話します。起き上がるのが大変な人の場合、布団のそばに手すりを置くことで、一人でトイレに行けるようになるケースもあるといいます。
覚えておきたいのが、「レンタルが基本」というルール。この場合、介護保険が適用され、月々のレンタル代の1割(一定の所得がある人は2~3割)の自己負担で済みます。例えば、レンタル代が月8000円の電動ベッドなら、自己負担は月800円です。
福祉用具のレンタル価格は機能などによっても変わりますが、1か月の自己負担額(1割負担)は、自走式の車いすは300~800円、電動車いすで1500~3000円、電動ベッドは600~1500円の価格帯が多いようです。
ちなみに、その製品が気に入ったので購入しようとすると、全額が自腹になります。
例外として、ポータブルトイレなど他人が使ったものの再利用がためらわれる福祉用具は購入のみ。この場合も、介護保険で自己負担は原則1割です。ただし、購入金額の上限は年10万円ほどです。
福祉用具は、機能も価格も様々です。どのように選べばよいのでしょうか。約1000品目を扱う福祉用具レンタル大手「ヤマシタ」(静岡県)の丸野慎治さん(48)は「利用する目的や環境を具体的にイメージしてみてください」とアドバイスします。
例えば、車に積んで外出先で使う車いすなら軽量のものが扱いやすそうです。自室で利用するなら、廊下でも切り返せるような小回りのきくタイプが良いでしょう。複数台レンタルし、用途によって使い分けることもできます。
こうした相談には、丸野さんのような「福祉用具専門相談員」が対応してくれます。日常生活のどんな場面で困っているのか、機器を使って何をしたいのか具体的に伝えることがポイント。車いすなどは、自宅で試しに使わせてもらうことも大切だそうです。
訪問介護やデイサービスの場合、時間やサービスの内容・水準が同じなら、料金にあまり差はありません。一方、福祉用具のレンタル価格は、同じメーカーの商品でも事業者ごとに異なっています。
安い方がお得感はありますが、取扱品目が少なかったり、故障時の対応が平日のみだったりするケースもあるようです。また、紛失や破損の場合、どこまでが利用者の責任になるのかも契約時に確認しておくと安心でしょう。
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。