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医療・健康・介護のコラム

結婚10年、初めての体外受精で第1子「もっと早く専門病院に行けば良かった」

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結婚10年、初めての体外受精で第1子「もっと早く専門病院に行けば良かった」

 Sさんは26歳で結婚しました。夫は同じ会社に勤める5歳年上の元上司だったそうです。結婚後しばらくして、Sさんが部署を移り、それまで経験がなかった経理の仕事をすることになりました。慣れない仕事で毎日疲れ、家事をするのもやっと。そのころは、子どものことはとても考えられなかったといいます。

結婚して4年、30歳から妊活開始

 けれど30歳になって、Sさんは急に子どものことが気にかかってきました。「高齢出産は35歳だから、まだ間に合うかもしれないけど、やっぱり子どもは2人は欲しい。だったら早く出産したほうがいいのでは? なんなら今すぐにでも妊娠したほうがいい!」と考えたそうです。そして夫と話し、避妊をやめたのでした。

 しかし、半年たっても一向に妊娠の兆しが見えません。Sさんはだんだんと気持ちが焦ってきました。「生理は規則的でタイミングもとりやすいから、すぐできると思っていたのに。もしかしたら、私は不妊なの? それとも夫に原因がある? 病院に行ったほうがいいのかな?」。何となく夫には話せない漠然とした不安を抱えたまま、一人悶々もんもんとした日々を過ごしていたそうです。

周囲の妊娠・出産ラッシュに心境複雑

 ちょうどそのころ、Sさんの周りはくしくも妊娠・出産ラッシュ。学生時代からの友人たちから、まるで申し合わせたように次々に妊娠報告が届き、メッセージグループはお祝いの言葉でひとしきりにぎわいました。けれどSさんの心境は複雑です。メッセージで「おめでとう」と送るものの、心の中では「私も妊娠報告がしたいのに」「私の方が先に妊活を始めたかもしれないのに」という思いがどうしても消せません。

 「大切な友人たちの幸せを祝ってあげられないなんて、なんて心が狭い人間なんだろう。ねたんでしまう自分が情けない」「こんな風だから、私のところには赤ちゃんが来てくれないのかも」と自分を責める言葉ばかり頭に浮かんできて、「とても苦しかった」と目を伏せます。メッセージグループには妊娠中の話題がいっぱいで、それを読むのもつらく、結局、その頃は友人たちと距離を置くようになってしまったそうです。

 「こんな風に悩んでいるなら、やはり一度は病院に行ったほうがいいかも」と思った矢先、今度は職場の先輩や後輩まで妊娠が続いてしまいました。責任感の強いSさんは「今、私まで抜けたら、職場が回っていかない。やっぱり今は妊娠できない。妊活はもうちょっと先にしないと」と思い、病院に行くのはやめたそうです。「男の人はこういうことで悩まなくていいからいいですよね。女性はそういうわけにはいかないし。でも、うちの職場は男性が多いから相談する人もいなくて……」と当時を振り返って話を続けます。

33歳から不妊治療 わからなかった病院選びの基準

 とうとう33歳を過ぎたころ、やっとSさん夫妻は不妊治療のために病院に行くことを決意。病院探しをすることになりました。ここで苦労したのが、情報のなさです。

 不妊治療をしている病院は検索すればたくさん出てきて、Sさんの住まいや職場の近くにもいくつもありましたが、「一体何を基準に、どういった病院を選べばいいのか、さっぱりわからなくて、本当に困りました。病院のHPを見ると、どこもよさそうなことは書いてあるけど、行ってみないとわからないこともたくさんあるだろうし、治療のことも何もかも初めてなので、説明を読んでみてもよくわからなかったんです。料金も、結局私にはいくら必要なのか、見てもわからないし。相談できる人も周囲にいなかったので、二人でいろいろと見てみた揚げ句、通いやすそうなところに行ってみることにしたんです」

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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