スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす
医療・健康・介護のコラム
肘の脱臼は、整復されればいいわけではない
それでは、Mさんの経過です。
医療機関を受診し、単純X線で骨折がないこと、MRIで靭帯が損傷していることが確認されました。手術などを行わない保存加療を選択し、患部の不安定性が残ってしまうことでパフォーマンスへの影響が続く場合には、手術の選択肢を考慮するという方針になりました。3週間、肘を動かさないよう、シーネ(副子)固定を行ったのち、理学療法士の指導で可動域訓練を開始しました。幸いにも不安定な感覚は残らずに可動域も回復し、痛みの訴えもなかったことで、柔道に復帰することができました。
肘の脱臼は頻度として高くはありません。肘を伸ばしたまま手をつき、その手に体重が乗ることで生じます。この時、脱臼ではなく手関節や肘周囲の骨折を生じる可能性もあります。不意に手をついてしまう場面もありますが、しっかりと受け身の姿勢で倒れれば防げます。 頭頚 部外傷を防ぐ意味でも受け身の姿勢はとても大切です。(大関信武 整形外科医)
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